■同社では従来,Windows 2000 ServerとIIS 5.0を使って運営していたが,アクセス数が増えると対応できないことがあった。このため,1台当たりに収容するサイト数を約1500に絞る必要があった。
■新たにWindows Server 2003とIIS 6.0を導入することで,性能と管理性が向上した。しかも,Webサーバーとコンテンツ保存用のファイル・サーバーとの間のセッション数の制限が緩和されたため,1台当たり2万サイトと,従来の1けた以上を収容できるようになった。
インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)のグローバルメディアオンラインは,ドメイン登録サービスやサーバー・ホスティング・サービスで国内最大手になる。同社が1999年に始めたオンラインのドメイン登録サービス「お名前.com」は,現在までに累積で36万ドメインの実績があり,毎月5000~7000のペースで登録数が増えている。jpドメインの登録数では世界最大,com/net/orgドメインの登録数ではアジア最大になるという。 お名前.comで登録したユーザー向けに,同社は「プレミアサーバー」という共有型ホスティング・サービスを提供している。50Mバイトのホームページ容量,5つの電子メール・アカウントが使えて,月額2480からという低価格の個人向けサービスだ。同社はこの「プレミアサーバー」サービスを2002年6月から開始し,そのプラットフォームにWindows 2000を使ってきた。 お名前.comで登録したユーザーの2~3割が,プレミアサーバーを利用するなか,サイト数は増え続け,サービス開始から早くも1年たった2003年7月に,Windows Server 2003にリプレースすることになった。
共有型ホスティング・サービスにExchangeのOWAを使って付加価値を出す ところが,同社はだれも気にしないサーバーのOSに,ユーザーを引き付ける付加価値を見い出した。「プレミアサーバー」のユーザーには,Webメールやスケジュール管理などのグループウエア・サービスをオプションで用意しており,これは,Windows 2000 Server上で稼働するExchange 2000 ServerとOWA(Outlook Web Access)によって提供されている。同社ドメインカンパニーの渡邊直哉カンパニープレジデントによると,「ユーザーの使っているパソコンは,圧倒的にWindowsプラットフォームが多い。Windowsユーザーになじみのあるユーザー・インターフェースが強味になっている」とその意図を語る。 レンタル・サーバーをWindowsにしたことのメリットとして,もう1つASP(Active Server Pages)への対応が挙げられる。実は,これはそれほど意図したものではなかった。渡邊氏が驚いたのは,サービス開設当初から「ASPを使ったWebページができるか」といった問い合わせが相次いだことだ。「Visual BasicでASPを制作するスキルの高いユーザーが関心を持ってくれた」という。そういう意味でユーザーのスキルは両極端に分かれている。同社のホスティング・サービスも,その両方をフォローするものになっている。
Windows 2000のWebサーバーでアクセス数の限界値に突き当たる 最初は原因が不明だったが,様々な分析の結果,どうやらIIS(Internet Information Services) 5.0が稼働するWebサーバーと,コンテンツを収めているファイル・サーバーとの間のSMB(Server Message Block)セッションが限界であることが判明した。 通常IIS 5.0は,コンテンツを自分のローカル・ディスクに保存するのではなく,ファイル・サーバーの共有フォルダに保存している場合,その間を行き交うプロトコルは,NetBIOSを使うことになっている。そのとき,同時に使えるSMBセッション数には,2048という限界値があった。従って,いくらフロント・サイドで数多くのユーザーからアクセスを受けても,背後のファイル・サーバーとのセッション数がボトルネックになって,Webページにアクセスできない事態を招いてしまうのだ。 「レジストリを変更することで,セッション数の限界値を引き上げられるとのことだったが,結局テストをしてもうまくいかなかった」と,向山氏は試行錯誤の苦労を語る。そのままボトルネックを解消することができないまま,登録ユーザーが増えるとサーバー1台当たり1500サイトと決めて,台数を増やすという対処療法が続いた。最終的には,Windows 2000 Serverを7台まで増やすことになった。 |