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 米Microsoftは7月27日(米国時間),次期クライアントOS「Windows Vista」(開発コード名Longhorn)と同OSに搭載する次期Webブラウザ・ソフト「Internet Explorer(IE)7.0」のベータ1を完成させた。テスター向けに幅広く利用してもらえる最初のリリースになる。

 既にこのベータ1(英語版)は,MSDN会員向けのWebサイトからダウンロードが可能になっている。Windows Vistaのビルド番号は「Build 5112」である。同社の内部文書によると,Windows Vistaのディスク・ベースの配布は,DVDメディアのみに決まったという。同社は8月3日までにベータ1を配布するとしていた(既報)。

 Microsoftはこのベータ1を「0 Active Bug(重大なバグがない)」状態を目指して作った。既に7月22日の段階で,今回のマイルストーンに到達していた。社内向けの電子メールの中で「われわれは“0 Active Beta 1 Bug”を24時間以内に手に入れる。そして7月27日にリリースできる見通しだ。われわれは現在トリアージ・モードに入っている」と宣言していた。トリアージというのは,複数の負傷者が運び込まれたとき,負傷者(バグ)に優先順位を付けて,優先順位の高いものから治療(修正)を行う方法をいう。

 MicrosoftはWindows Vistaの宣伝で「bringing clarity to your world(あなたの世界に透明感を)」というフレーズを使い,3つの広い分野「自信」「接続性」「信頼性」――を訴求していく予定だ。

 Windows Vistaベータ1は,次のような特徴を備えているという。
●管理者がWindows Vista Systemを監視し,セキュリティ・ログを取る監査機能の強化
●新しく追加された「ゲーム・エクスプローラ」により,インストールしたゲームを集中管理する
●Webブラウザの新しいバージョン「IE 7.0」
●子供が遊べるゲームを親が制限できるようにするパレンタル・コントロール
●「Peer Name Resolution Protocol(PNRP)」をベースにした新しい「ピア名前解決サービス」を搭載し,他のユーザーとの共同作業を促進させる
●Windows Rights Management Services(RMS)のクライアイント機能搭載により,保護されたデータ・ファイルが使える
●新しくなったWindowsバックアップ・ユーティリティによって,ディスク・ボリュームをまるごと,DVDやCD-ROM,外付けハードディスク,ネットワークの共有リソースなどにバックアップできる
●無線ネットワークの登録サービスを搭載しており,Windows Vistaが稼働する携帯機器が,公共のWi-Fiホットスポットに対して安全な接続を自動的に行う

 一方,IE 7.0ベータ1は,次のような特徴を備えている。
●履歴削除機能…ワンクリックで,履歴フォルダに保存したCookie情報やWebサイトのパスワード,Webフォームのデータやテンポラリ・ファイルを消す。これら項目を個別に残すことも可能
●フィッシング・フィルタリング機能…アクセス先Webサイトが,信頼されたWebサイトを詐称しているときに警告を発してくれる

 将来リリースされるベータ2では,エンドユーザー向けの新しい機能が追加される予定で,一般消費者も企業も,興奮させるようなものになると同社は約束している。まだベータ2の出荷時期を宣言していないが,ベータ1のフィードバックを反映させ,他の内部ベータの出来具合を見て判断する。

(Paul Thurrott)