既に解散した米Goの創業者Jerrold Kaplan氏が,米Microsoftに対して独禁法訴訟を起こした。Goは,1990年代初めにペン・ベースのコンピュータを開発していたが,米Microsoftが先手を打ってペン・ベースのWindows製品を発表したために市場から締め出されたのだ。Jerrold Kaplan氏は, Microsoftが1994年に,Goの開発したOS「PenPoint」をWindowsに対する脅威だと見なして市場から締め出されたと主張する。だれもがこの事実を既によく知っている。だが,ペン・ベースのWindowsバージョンを発表した当時,Microsoftの手元にはまだ何もなく,その後数年も何もなかったはずだとするいくつかの証拠が出てきたので,同氏は訴訟に踏み切ったのだ。

 Microsoftはいつもの慎重さで,この件に対応している。Microsoftの広報担当者は「こうしたクレームは,20年近く前のものだ。それらには当時根拠がなかったし,今もそうだ」とコメントした。しかし,次の発言には注意が必要だ。「手書き認識は1980年代末から1990年代初頭には,まだ厳しい制約があったので,ペン・コンピュータに挑戦して成功した会社は1社もなかった」。その通り,この発言が当時の状況を説明している。Goが失敗したのは,Microsoftが計画しただけで世に出さないベーパーウエアの「Pen Windows」を先に発表したことだけが原因だと,私は考えていた。しかし,これは間違いであったかもしれない。

(Paul Thurrott)