米MicrosoftのBill Gates会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクト(写真上)は6月29日,東京ビックサイトで7月1日まで開催中のソフトウエア開発環境展で基調講演を行った。Gates会長は,「今はソフトウエアの黄金時代を迎えている。ソフト開発者が創造力を発揮すれば,今までなかったアプリケーションを開発できる無限の可能性が広がっている」と語った。

 この理由としてGates会長は,低コストで高速なサーバーやパソコンが入手できるようになり性能の制約がなくなったこと,優れたツールが登場したこと,有線のブロードバンドや無線LAN,携帯電話サービスなどによって,どこでもすぐに情報を入手できるようになったこと,WebサービスやTCP/IPなどによって様々なシステムとの接続が容易になったこと――などがあるという。

 これらを活用して新しいソフトウエアが開発されれば,「仕事において,よりよい製品や顧客サービスを提供したり,効率よく競争力を発揮したりできる。日常生活では,デジタルベースで音楽や映画を楽しむことができる」と説いた。

 また,組み込み用途でソフトウエアの重要性が高まっている点にも触れた。Gates会長は,Windows XP Embeddedを搭載したハローキティのロボットと握手をしてみせ,「楽しいロボットや役に立つロボットが爆発的に増えるだろう。開発者の努力でどんどん実現できる」と述べた(写真下)。

 このほか,Windows CE .NET 4.2を搭載したNTT東日本のテレビ電話機「フレッツフォン」やWindows Mobile 2003 software for Pocket PCを搭載したKDDIの第3世代携帯電話「愛・MATE」の例を挙げ,「いろいろなデバイスに搭載されるソフトにもチャンスがある」と期待を語った。

 こうした状況においてMicrosoftが担っている役割が,OSや開発環境などの提供である。基調講演の後半では,デモを交えながら2005年末に出荷が予定されているSQL Server 2005,Visual Studio 2005を紹介した。このほか2005年夏および2006年初めにベータ版の出荷が予定されている次期Windows「Longhorn(開発コード名)」や,2005年末にベータ版の出荷が予定されている次期版のOffice「Office12(開発コード名)」を紹介した。

(坂口 裕一=日経Windowsプロ


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