米Microsoftは,Officeの次期版「Office 12」(開発コード名)で文書データ・ファイル形式のXML(拡張マークアップ言語)対応を大幅に強化する。特にOffice 12のExcel,PowerPoint,Wordは,それぞれXMLの文書形式をデフォルトで使用する。これは大変重要な動きだ。Microsoftを批評する人たちは長年,Officeが独自の文書形式を採用してきたことによって,1つの大きな競争優位性が保たれていた,と分析しているからだ。

 同社は6月5日から米オーランド(フロリダ州)で開催するTech・Ed 2005で,この新しい文書形式の詳細を明らかにする予定。この新形式は「Microsoft Office XML Open Formats」と呼ばれる。MS Officeでは3バージョン前(すなわちOffice 2003,Office XP,およびOffice 2000)から段階的にXML形式が採用されてきた。今回のものはその後継の形式になる。

 Office製品担当シニア・バイス・プレジデントのSteven Sinofsky氏は,「このXML Open FormatsによってOffice 12では,WordとExcelについてはXML対応が大幅に強化される。PowerPointは,初めてXMLに対応できた。XML Open Formatsでは,アプリケーション特有のXMLタグを業界標準のXMLに基づき定めているほか,ZIP圧縮技術を利用している」という。このXMLベースの文書形式への変更によって,容量は以前の文書形式より最大で75%小さくなり,文書を共用することがさらに容易になる,とされる。

 また,Office 2003,Office 2000,およびOffice XPでは,小さなアップデート・プログラムをダウンロードするだけで,Office 12の文書を扱えるようになる。Office 12においても従来の形式のOffice文書を扱えるようにする。

 オープン・システムのユーザーとっては,朗報だ。Microsoftは「開かれた,公開された文書形式」として,Office 12のXML Open Formatsをロイヤリティなしで提供する。つまり,「OpenOffice.org」や米Sun Microsystemsの「StarOffice」などの競合製品も,Microsoftへライセンス料を支払うことなしに,この文書形式を利用できる。Microsoftは,この新しい開かれたライセンスによって,Office 12のXML Open Formatsがより広く使われ,競合するソリューションと相互運用性が高まるだろう,としている。

 MicrosoftはOffice 12を2006年後半に出荷する予定。これは,3月にSuperSiteで紹介したOffice 12の出荷予定と一致している(英文の関連記事)。次期クライアント向けWindowsである「Longhorn」(開発コード名)のリリースと同時期でもある。

(Paul Thurrott)



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