日立製作所は5月23日,ディスクレス・クライアントを使って情報漏えいを防止する新製品を発表した。同社が2月15日に発表したノート型ディスクレス・クライアントを使った「セキュアクライアントソリューション」のメニューを拡充したものである。OSはマイクロソフトがブレードPC向けに提供する「Windows XP Professional Blade PC Edition」を利用する。

 今回発表したのは,A4サイズのノート型ディスクレス・クライアント「FLORA Se270」(写真右),液晶ディスプレイ一体型のディスクレス・クライアント「FLORA Se310」(写真左),データ・センターに設置するブレード型PC「FLORA bd100」の3機種。

 2月に発表した第1弾ではモバイル・ユーザーを対象にしていたのに対して,今回は社内のユーザーから情報漏えいを防止することを目的としている。社内のユーザーは,ハードディスクを内蔵しないクライアントを利用し,データ・センターに設置したブレードPCを遠隔操作する。オフィスのクライアントは,USB機器の使用が制限されており,データも保存できないため,情報漏えいを防止できる,としている。

 日立製作所が開発したブレードPCは,1枚のブレード(板)上に1.4GHz動作のCeleron M,512Mバイトのメモリー,40Gバイトの2.5インチハードディスクなど,パソコンと同等の部品を搭載している。3U(1Uは約44mm)サイズに14枚のブレードを収容可能。

 このブレードPCは,現在のところ1ユーザーが1枚のブレードを占有する“マンション方式”として利用する。将来は,パソコンの利用開始時に空いているブレードを自動的に割り当てて利用する方式も可能になる。

 価格は,ディスプレイ一体型のFLORA Se310が13万200円,A4ノート型の同Se270が13万5450円,ブレードPCはブレード1枚当たりの価格が13万5975円。ブレードを格納する「ベースユニット」が21万円。

 このほか,画面転送型のディスクレス・クライアントが苦手とするIP電話も利用可能にした。ディスクレス・クライアントが内蔵するコンパクトフラッシュ・カード内に音声をIP化する最低限のアプリケーションを格納しておき,ディスクレス・クライアントのUSBポートに接続したヘッドセットでIP電話を利用できる。日立製のIP電話システムに対応しているが,他社製のシステムにも個別で対応可能だという。

 日立製作所はこれらのシステムを外販するほか,2007年度までにディスクレス・クライアントとブレード・パソコンを合わせて,5万2000台を自社で導入する計画を立てている。同社情報システム本部長の中島 史也氏は,「元々4年ごとにパソコンを入れ替えることにしており,これに合わせてディスクレス・クライアントを導入している。ディスクレス・クライアントは通常のパソコンより少し高いが,特別に大きな投資をしているわけではない」と説明する。

(坂口 裕一=日経Windowsプロ

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