第二地銀の名古屋銀行は4月19日,マイクロソフトが開催したプレス説明会で,次期情報基幹系システムにSQL Server 2005を採用すると発表した。

 名古屋銀行の山本信勝事務システム部システム開発グループ次長(写真)は,「SQL Server 2005を採用することで,運用コストを削減でき,データベースの暗号化も実現できる。サード・パーティ製のETL(データの抽出,加工,流し込み)ツールが不要になるなどのメリットがある。決して,マイクロソフトに躍らされてSQL Server 2005を選択したわけではない」と,説明した。

 同行の基幹情報系システムは,富士通製メインフレームで稼働する勘定系システムから,顧客データや取引ログなどを受け取り,分析・変換などの処理をして,収益管理やローンの自動審査システムなどに引き渡すものである。現在,米Hewlett-PackardのUNIXサーバー上で稼働しているOracleデータベースをSQL Server 2005でリプレースする。

 これによって,情報系システムで唯一残っていたUNIXサーバーを廃止でき,Windowsプラットフォームに統一することで,運用コストの削減を見込む。さらに現行システムで利用しているETLツールは,SQL Server 2005が備えるSQL Server Integration Serviceで代替してコストを削減する。このほか次期システムでは,顧客情報を含む別のSQL Serverを統合する。顧客情報を1カ所に集めて管理することで,個人情報保護法の順守を容易にする。

 SQL Server 2005の導入は2004年11月に行内で決定し,既にベータ版を利用して開発を進めている。また名古屋銀行は,米Microsoftが実施しているTechnology Adoption Program(TAP)の適用を受けている。TAPは,マイクロソフト製品を開発する早い段階からユーザー企業のシステムに導入して,フィードバックを集めることで,製品の品質向上を図るものである。名古屋銀行は,アジア圏で唯一TAPのユーザー企業として選出された。

 時期システムは,SQL Server 2005の出荷に合わせてシステム構築が完了し,システムが本稼働する予定。このため,SQL Server 2005の出荷遅れると稼働時期も遅れるリスクがある。「その場合は,現行の情報系システムを使い続けるだけ。現行システムは,サーバーのLANカードの保守期限切れが近づいているが,大きな問題はない」(名古屋銀行の山本次長)という。

(坂口 裕一=日経Windowsプロ

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