米EMCは4月14日,中小企業向けのサーバー・バックアップ・ソフト「EMC Dantz Retrospect 7 Windows版」を日本で発売した。同製品の開発元である米Dantzは,2004年10月にEMCに買収されている。日本での販売元はDantz時代と同じアクト・ツーと報映産業で,EMCジャパンでは直接扱わない。新バージョンでは,ディスク・ツー・ディスク・ツー・テープ・バックアップ(最初に外部ディスクにバックアップし,時間の空いたときに外部ディスクからテープにバックアップする)用の機能を強化している。

 Retrospect 7には,用途によって製品が分かれており,(1)複数のサーバーを一元バックアップする「Retrospect 7 Multi Server」(19万8450円),(2)1台のサーバーをバックアップする「同Single Server」(9万3450円),(3)1台のWindows Small Business Serverマシン専用の「同Small Business」(6万9090円),(4)ディスクにのみバックアップできる「同Disk-to-Disk」(4万4100円)――の4製品である。Disk-to-Disk版以外の製品は,Windows 2000/XPなどのクライアントを集中バックアップ(台数無制限)する機能もある。

 ディスク・ツー・ディスク・ツー・テープ・バックアップ用の機能としては,ディスクに保存されたフル・バックアップとその後に取得した増分バックアップのデータを組み合わせて,新しいフル・バックアップのイメージを作成し(合成バックアップ),それをテープに書き出すという機能を搭載した。バックアップやリストアは,テープよりもディスクを使った方が高速であるが,オフサイト保管にはテープが向いている。合成バックアップを使えば,普段のバックアップはディスクへの増分バックアップだけでも,フル・バックアップのデータを随時テープに保存できる。

 新バージョンでは「グルーミング」という新機能も搭載した。差分/増分バックアップを頻繁に実施していると,変更のあったファイルは複数の版(バージョン)に保存される。保存される版の数が増えると,バックアップ・データが過大に増えるので,Retrospectでは指定する版(「最新10版まで」など)よりも古い版を,バックアップ・データから自動的に削除して,ストレージ容量を節約できる。このような機能をグルーミングと呼んでいる。

 Retrospectでは,バックアップ対象のファイルを最大600Mバイト程度の1つのバックアップ・ファイルに圧縮して保存している。グルーミングの際には,バックアップ・ファイルを作り直して,その際に不要な古いファイルを除去している。

 EMCは2003年にバックアップ・ソフト「Networker」の開発元であるLegatoを買収しており,Networkerは大企業/データ・センター向け,Dantz Retrospectは中小企業向けとターゲットを分けている。EMCのDantz部門のワールドワイド・セールスとマーケティングを担当しているVicki Greyバイス・プレジデントは「米国では5月より,Retrospect 7をEMCの中小企業向けストレージ『AX100』にバンドルして販売する予定だ。これらを組み合わせた中小企業向けのバックアップ・アプライアンスも(サーバー・ベンダーから)登場するだろう」と語っている。

(中田 敦=日経Windowsプロ

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