米Microsoftは3月9日水曜日(米国時間),ついにXbox次世代機(開発コード名:Xenon)のベールを外した。デバイスの詳細を初めて明かしたのだ。Xbox 2が公開されたのは,米サンフランシスコで開催された「Game Developers Conference(GDC)」である。

 Microsoftのコーポレート・バイス・プレジデントであるJ. Allard氏は,Xbox 2はゲーム機を「3D時代」から「HD(High Definition,日本ではハイビジョン)時代」へと移行させる,と語った。高解像度でいきいきとした映像は,現在は映画やテレビの愛好者だけのものだが,それがゲーム愛好者にももたらされるという。J. Allard氏はGDCの基調講演で「HD時代では,プラットフォームはプロセッサよりも大きな存在になる。新技術や消費者の新しい動向によって,ゲーム開発のロック・スターたちが,エンターテインメント界の古びた既存勢力を駆逐して,新しいエンターテインメントを形作るだろう」と語った。

 Xbox 2のアーキテクチャを見てみよう。Xbox 2は,IBMと共同開発したマルチコア・プロセッサ・アーキテクチャ,ATIと共同開発した高性能なグラフィックス・プロセッサを採用している。現在のXboxは,既に存在していたインテルPentium IIIプロセッサとNVIDIAグラフィックス・チップを採用している。Xbox 2は,DirectXと今回「XNA Studio」と命名されたVisual Studioベースのソフトウエア開発環境という2つのゲーム技術をサポートする。

 HD対応デバイスであるということは,Xbox 2ではゲームを標準で16対9のワイド・スクリーンで表示するということだ(この16対9という比率は米国では封筒の形と同じである。またこの次世代ゲーム機では,MicrosoftはすべてのXbox 2対応ゲームをXbox Live対応にするだろう。Xbox Liveとは,Microsoftが運営する巨大で人気のあるXboxオンライン・ゲーム・サービスである)。

 Allard氏はまた,新しいXbox 2ガイドを披露した。このガイドはユーザー・インターフェースについて触れたものだ。ちなみにXbox 2においてユーザー・インターフェースのように各ゲーム・タイトルで共通する利用感のようなものは「エンターテインメント・ゲートウエイ」というMicrosoft用語で呼ばれている。同ガイドによれば,Xbox 2のユーザーは自分の肉体をゲームや他のデジタル・メディア・コンテンツに接続できるようになるという。このガイドには,下記のようなものが紹介されていた。

ゲーマー・カード:MSN Messenger 7に実装された「コンタクト・カード」に類似したもの。ゲーマー・カードがあれば,Xbox Liveに参加する他のゲーマーの情報が素早く参照可能で,興味やスキルが一致する他のゲーマーを探しやすくなる。

マーケットプレイス:基本的には,新しいゲームのレベルやマップ,武器,スキン(見た目),ユーザー・コミュニティが作成したコンテンツなどゲームのアドオンを販売するオンライン・ストア。マーケットプレイスでは,ゲームやジャンルのサーチができる。

マイクロトランザクション:この機能は,ゲーム会社が少額の料金をゲーム中のサービスで徴収するためのものである。レース・ゲームにおける新車や,戦闘ゲームにおける新しい武器などを販売するためにある。

カスタム・プレイリスト:プレーヤに対して,おすすめの音楽やゲームのサウンド・トラックなどを推薦するオンライン・ガイド。

 Allard氏は同時に,Microsoftは5月に開催される「E3」トレード・ショーで,Xbox 2を正式発表すると述べた。同社は製品の正式名称やリリース日などを明らかにするだろう。

(Paul Thurrott)

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