MicrosoftのBill Gates会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトは3月8日,同社ソフトを使ったコラボレーションとコミュニケーションの展望を語った。

 Gates氏はこのなかで,Office Systemの2つの新製品と新サービスを発表した。新製品は,「Office Communicator 2005」(開発コード名はIstanbul)と「Live Communications Server 2005 Service Pack 1 (SP1)」。新サービスは,電子会議機能を提供する「Office Live Meeting 2005」である。

 Gates氏は,MicrosoftがOfficeの次期版(開発コード名Office 12)で投入予定の技術についても語った。「人々のコミュニケーションや,会議,情報共有の手段,電子的なメモの取り方を変えることを目指している。コミュニケーションをさらに進展させる。壁を取り払い,情報を流通させて,物事の進行を容易にする。これは,Officeソフトが革命をもたらす多くの分野の1つに過ぎない」という。

 Gates氏は,プレゼンスや通知といった基本的なコラボレーションのための技術についても語った。プレゼンスや通知機能は,最近のソフトでは,部分的に実装されているに過ぎない。

 MSN Messengerの場合,ユーザーがオンラインかオフラインかを通知できるが,ユーザーがパソコンのソフトから接続しているか,携帯電話から接続しているか,またはWebベースのソフトから接続しているか,といった情報は通知されない。

 またユーザーが物理的にどこにいるのか,といった情報も提供されない。この情報を活用できると,ユーザーがほかのユーザーとどのようにコミュニケーションをとるべきか定義することが可能になる。

 もう1つの難問は,コミュニケーションとコラボレーションの新機能を,人々が既に使っているソフトの中へ統合することである。Microsoftの見通しによると,新機能はMicrosoftのOfficeソフトに包含される。

 Live Communications Server2005は,法人向けのインスタント・メッセージング(IM)機能と,プレゼンス管理機能の可能性を提供するものだ。Service Packは,要望が多かったいくつかの新機能を含んでいる。例えば,Microsoft Operations Managerへの対応,HTTPSベースのリモート・アクセスなどである。「Public IM」と呼ばれる新しい互換技術も提供する。これは,AOL,MSN,Yahoo!のメッセンジャーと相互にメッセージをやり取りするものである。

 注目すべきは,Live Communications Serverのクライアント・ソフト「Office Communicator 2005」である。2005年中ころに出荷される予定で,MSN Messengerのような従来のインスタント・メッセンジャーが提供してきたものよりも充実した機能を提供する。

 インスタント・メッセンジャーのようなクライアントは,テキスト,音声,動画のメッセージをやり取りする。しかしCommunicator 2005は,PBX(構内交換機)を使う電話やExchangeのようなアプリケーションが管理するプレゼンス情報とも統合できる。例えば,あなたが会議中であると,同僚に対して自動的に通知できる。

 最後に発表があったのは,「Live Meeting 2005」と呼ばれる電子会議の新サービスである。Live Meeting 2005の前バージョンは,物理的に離ればなれの関係者が,プレゼンテーション資料や仮想ホワイト・ボードや文書を共有しながら,会議ができる,というものだった。Live Meeting 2005では,VoIP機能が追加され,インターネット電話を利用できる。

(Paul Thurrott)

【IT Pro-Windows Reviewメール】を好評配信中。申し込みはこちら