Windowsアプリケーションと同等の見栄えや操作性を持つリッチ・クライアントをWebブラウザ上で実現するWeb開発言語「Curl」を販売するカールは,ITソリューション展「NET&COM 2005」において,日本におけるCurlの開発事例や,CurlのWebサービス対応などを紹介している。

 Curlは,JavaアプレットやFlashなどと似た仕組みで動作する。クライアントは,あらかじめWebブラウザのプラグインとして,Curlの実行環境をインストールしておく。サーバーからダウンロードしたCurlプログラムは,クライアントのWebブラウザ上で動作する。Webアプリケーションでありながら,Excelのようなカーソルやキーボードを使った入力作業が可能になるほか,オフラインでの利用も可能になる。

 2004年11月に発表した住商情報システムのERPパッケージ(統合業務パッケージ)「ProActive」がクライアントとしてCurlを採用するなど(関連記事),日本での採用事例がここ1~2年で急増しているという。TISが開発するクレジット・カード用の基幹業務システム「Credit Cube」のクライアントもCurlであり,すでにクレジット・カード加盟店などで使用されている。

 独立系のシステム開発会社であるイーエックスは,NET&COM 2005のカールのブースで,Curlで開発したコンサート・ホールの座席管理システムの事例を紹介した。これは,奈良県にある800席規模の公共ホールで,座席管理や施設予約管理,講座・教室予約管理を実現するシステムである。提案依頼書(RFP)で,WebシステムであることやGUIが採用されていることなどが定められていた。

 イーエックスがCurlで開発したWebアプリケーションは,データの入力やGUI操作に優れたものである。データを入力する際は,セルをカーソルで選択しての入力が可能であるし,公演によって座席をS席,A席,B席などに割り振る作業をする際にも,座席図の画面からマウスのドラッグ&ドロップで座席を選べば済む。

 イーエックスではシステム開発にあたってJavaでの開発も検討したが,「Javaだと工数で3倍,画面数で4倍の規模になると思われたため,3カ月という開発期間を考慮してCurlを選択した」(イーエックス)としている。

 このほかNET&COM 2005のカールのブースでは,米CurlのVice PresidentであるSteven Adams氏が,CurlのWebサービスへの対応状況について講演している。現在同社は,CurlのWebサービス対応機能を開発中で,XMLやXML Schema,WSDL(Web Services Description Language),SOAP(Simple Object Access Protocol)のモジュールはベータ版,XHTML(Extensible HyperText Markup Language)やXPath,CSS(Cascading Style Sheets)のモジュールがアルファ版の状態だ。

 Adams氏は,Google検索のWebサービス「Google Web API Service」や,AmazonのWebサービスなどを利用するCurlアプリケーションのスクリーン・ショットを示して,開発が順調であることをアピールした。「Curlの場合,クライアントが直接,複数のWebサービスを利用できる」(Adams氏)と,Curlの利便性を強調している。

(中田 敦=日経Windowsプロ)