米Microsoftは12月10日,Windows Serverの製品ロードマップが一新されたと伝えてきた。ストレージ・エンジン「WinFS」は次期Windows OS「Longhorn」(開発コード名)から削られたあと,別枠で提供が予定されていた(既報)。ところが,2007年出荷予定のLonghorn Serverにも搭載されなくなった。

 最近米MicrosoftのWindows Server担当上級副社長のBob Muglia氏がCNET.comに語ったところによると,WinFSは2008年出荷予定のLonghorn次期版「Longhorn Release 2(R2)」の一部として出荷されるという。Longhorn R2は,クライアント用Longhornのマイナー・バージョンアップ製品。WinFSはどうみてもクライアントよりもサーバーにとってこそ重要なのだが,「Longhorn Server R2」は2009年にならないと出荷されない。

 今やLonghornは「Shorthorn」と呼ぶべきだと批判すると怒る人がいるかもしれない。同OSの機能は,既にいくつか削られ,Windows Server 2003やWindows XP向けに作られたり,提供されたりしている機能ばかりになってしまった。Microsoftの経営陣は,まだLonghornの機能をほとんど明らかにしていない。それでもLonghornは,まだ革新的な製品になるはずだ。「刷新されたユーザー・インターフェース(UI)」「強化されたローミング機能のサポート」「.NET Framework 2.0」「新しいブラウザ機能」「洗練された移行・展開機能」「統合された不正ソフト対策技術」「新しいデジタル写真のUI」――などを備える。

 新しいWindows Serverのロードマップをまとめると以下のようになる。
●2005年前半:「Windows Server 2003 Service Pack 1(SP1)」「Windows Server 2003 x64 Edition」「Small Business Server(SBS) 2003 SP1」「Windows Update Services(WUS)」「Windows Server 2003 Compute Cluster Editionのベータ版」「Windows Server 2003 Release 2(R2)のベータ版」
●2005年後半:「Windows Server 2003 R2」「SBS R2」「Windows Storage Server R2」「Longhorn Serverの最初のベータ版」「Windows Server 2003 Compute Cluster Edition」,OS以外のものとして「Visual Studio 2005」「SQL Server 2005」「System Center 2005」「BizTalk Serverの新版」「Host Integration Server(HIS)の新版」「Commerce Serverの新版」
●2006年:「Longhorn」
●2007年:「Longhorn Server」
●2008年:「Longhorn R2」
●2009年:「Longhorn Server R2」
●2011年:「Blackcomb」

 2005年の鍵になる製品であるWindows Server 2003 R2は新機能として,「支店にあるサーバーの展開・管理機能」「Active Directory連合機能(開発コード名Trustbridge)」「SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)の簡易な管理」――などを搭載している。MicrosoftがWindows Server 2003向けに出したフィーチャー・パックと総称する機能も統合される。R2の出荷予定は2005年10月だという。

 また,Microsoftは数多くの新機能をLonghorn Serverに追加する予定だ。Longhorn Serverの新機能は,「集中化されフィルタされたイベント・ログ機能」「イメージ・ベースのセットアップと展開」「管理され拡張性のあるWebアプリケーションのプラットフォーム」「インフラ堅牢性の強化」「ネットワーク検疫機能(Network Access Protection,元々Windows Server 2003 R2に搭載予定)」「再起動の削減」「より小さなプログラム・サイズへの対応」「トランザクション処理に完全対応したファイル・システムとレジストリ」「エンドユーザーの生産性の増強」「ターミナル・サーバー管理と利便性の拡張(元々Windows Server 2003 R2に搭載予定)」「使いやすくなったグループによる共同作業機能」「簡単に利用できる組織をまたがった著作権管理機能」――などである。

(Paul Thurrott)


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