米IBMは米国時間12月7日,同社のPC事業を中国の聯想集団(Lenovo Group)に12億5000万ドル(約1300億円)で売却すると発表した。聯想集団はIBMのブランド「Think」でパソコンを販売するほか,今後5年間はIBMブランドを利用できる。IBMが提供するサポート・サービスや企業向けの保守サービスなどは,今後もIBMから提供される。

 今回聯想集団に売却されたPC事業の中には,IBMが中国の長城計算機集団(Great Wall)と合弁で中国深センに設立したInternational Information Products Company(IIPC)のPC製造ラインも含まれる。ただし,IIPCにあるIBMのPCサーバー「IBM eServer xSeries」の製造ラインは,今回の売却の対象外だ。

 聯想集団による買い取り金額12億5000万ドルのうち,6億5000万ドルが現金で,残りの6億ドルは聯想集団の株式によって支払われる。このためIBMは,聯想集団の18.9%の株式を保有する筆頭株主となる。聯想集団のPC事業部のヘッドクォーターは米国ニューヨークにおかれ,PC事業部のCEO(最高経営責任者)にはIBM上級副社長でパーソナル・システム・グループのGeneral ManagerであるStephen M. Ward, Jr.氏が就任する。聯想集団の副会長兼社長兼CEOであるYuanqing Yang氏は,買収後のPC事業部の会長に就任する。

 2003年の実績をベースに試算すると,聯想集団のPC事業の規模は買収によって,売上高で120億ドル,出荷台数で1190万台となり,PC市場の世界シェア第3位(シェア8%)になるという。またノートPCのシェアでは世界第1位になる見通し。

 IBMは聯想集団からPCを調達して,企業向けのPC販売やシステム構築事業を継続する。ただし,IBMからは1万人の従業員が聯想集団に移籍する。1万人のうちの40%は既に中国で勤務する従業員で,米国の従業員は1万人のうちの25%以下という。LenovoのPC事業の研究開発拠点は米国,中国,日本におかれる予定。なお現在,IBMのノートPCであるThinkPadは,研究開発が日本IBMの大和事業所(神奈川県大和市)で行われている。また,日本ではPCの製造は行っていない。

(中田 敦=日経Windowsプロ

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