米Shavlik Technologiesは2005年第1四半期に,Windows OSやアプリケーションの修正パッチを社内で配布するソフトの次期版「HFNetChkPro 5.0」をリリースする予定だ。11月に来日した同社のEric Schultzeチーフ・セキュリティ・アーキテクトによれば,HFNetChkPro 5は,前バージョンの「HFNetChkPro 4」やそれをベースにした「Microsoft Baseline Security Analyzer(MBSA)」と比較して,ぜい弱性スキャン速度が大幅に高速化するという。また,配布できるアプリケーションの種類も,Microsoftが開発中の修正パッチ配布ソフトの次期版「Windows Update Services」より多くなる予定だ。

 HFNetChkProは,特別なクライアント・ソフトを対象マシンにインストールしなくても,修正パッチの配布が可能である。クライアント・マシンの「管理共有」を利用して修正パッチのパッケージを各マシンに配布し,「タスク・スケジューラ」を使ってこのパッケージを自動的に実行させることによって,修正パッチを展開する。特別なサーバーも不要であり,Windows XPマシンにHFNetChkProをインストールして,修正パッチを配布させてもよい。

 修正パッチの配布対象ソフトが多いのも,HFNetChkProの特徴である。マイクロソフトが提供する無償の修正パッチ配布ソフト「Software Update Services」は,修正パッチの配布対象がOSやInternet ExplorerのようなWindowsコンポーネントの一部に限定される。マイクロソフトが2005年にリリースする予定のWindows Update Servicesになると,SQL Server 2000,Exchange Server 2003,Office XP/2003も配布対象に追加される。

 しかしHFNetChkPro 5の場合,Exchange 2000 Server,Office 2000,ISA Server 2000,Content Management Server,BizTalk Server,Host Integration Server,Visio,Project,Publisher,SharePoint Portal ServerなどWUSが対象にしないマイクロソフト製品や,Internet Explorer 5.5/5.01,Windows NT 4.0などの旧製品,WinZipやApacheといった,マイクロソフト以外の製品の修正パッチも配布可能になるという。

 またHFNetChkPro 5では,マシンにどの修正パッチが適用されているかをスキャンする速度も,前バージョンやMBSAなどと比較して向上するという。HFNetChkProやMBSAは,マシンの管理共有を利用してシステム・ルートなどにアクセスし,OSやアプリケーションのファイルのバージョンを調べることによって,修正パッチの適用状態をチェックする。HFNetChkProやMBSAは,ファイルを管理者のマシンに一つひとつコピーしてからバージョンをチェックしていたため,マシンのスキャンに時間がかかったという(一般的に1台当たり2分以上)。それに対してHFNetChkPro 5では,ファイルをコピーせずにバージョンを調べられるため,スキャンの時間が1台当たり20秒程度に短縮可能であるとしている。

 このほかHFNetChkPro 5では,Windowsのタスク・スケジューラを使う代わりに,「シャブリック・スケジューラ」というクライアント・ソフトも利用可能になるという。シャブリック・スケジューラは,HFNetChkPro 5によって管理共有に配布されたXMLファイルの指示に従って,MicrosoftのWebサイトや指示されたWebサイトから修正パッチをダウンロードして適用するというソフトである。ネットワーク帯域の都合上,HFNetChkProによって修正パッチを直接配布できない環境にある企業などで役に立つという。

(中田 敦=日経Windowsプロ

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