米Microsoftは,「Windows XP Service Pack 2(SP2)」を配布してほぼ3カ月後に,ようやく,XP SP2の配布を促進するツールを提供する。このツールは,大企業での導入を妨害する最大の原因といわれているアプリケーションの互換性を提供する「Windows Application Compatibility Toolkit」の新版(バージョン4.0)である。

 これには,従来通り「Compatibility Administrator」「Microsoft Application Compatibility Analyzer」「Windows Application Verifier」などを含み,さらにSP2への対応状況についてチェックできる。自社開発のソフトが稼働している企業は,このツール群を使って互換性をチェックし,例えばXP SP2マシンのCPUレスポンス時間を遅いCPUに合わせるなどといった調整をして互換性を確保できるようになっている。

 Microsoftがこのツールの提供に長い時間をかけたことを考えると,まだ多くの企業がXP SP2を導入していないことに,同社が文句いってはいけないだろう。

(Paul Thurrott)


日経Windowsプロ編集部注
 Windows Application Compatibility Toolkit 4.0は,現在ベータ・テスト期間中であり,今年中には正式版が公開される予定。マシンにインストールされているアプリケーションを調査する「Application compatibility Analyzer」は「バージョン2.0」にアップデートされて,企業内で使用されているアプリケーションの一覧を作成して,Windows XP SP2では互換性に問題が生じるアプリケーションを探し出せる。

 また「Risk Evaluation and Mitigation Tool」というツールが追加される。これは,Windows XP SP2での仕様変更によって影響を受けるマシンの情報が収集できるというツールであり,アプリケーションだけでなくデバイス・ドライバなどの情報も収集できるもよう。

 なお,現行バージョンの「Windows Application Compatibility Toolkit 3.0」でも,Windows XP SP2で追加された新しい互換性機能は利用可能である。例えばWindows XP SP2の互換性機能には,ハードウエアの機能によってバッファ・オーバーフローを事前に防ぐことができる「ハードウエアDEP(データ実行防止)機能」を,個別のアプリケーションについて無効にする「Disable NX」という互換性フィックス(Windows XPの互換性機能の一部)が追加されている。この互換性フィックスの有効化は,既に現行バージョンのCompatibility Administratorでも利用可能である。

 Windows Application Compatibility Toolkitは,英語版のみが提供されている。しかし日本のマイクロソフトでは,バージョン4.0から日本語版を提供することも検討している。この件についても詳細が分かり次第,お伝えしたい。

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