9月末に台湾で開催された「Asia-Pacific Data Store Conference 2004」でImperial College Londonの研究グループが,CDやDVDのサイズのディスク1枚に,1Tバイトまでのデータを記録できる新技術を発表した(該当サイト)。「Multiplexed Optical Data Storage(MODS)」というこの新技術は,商品化に5~10年かかるが,研究者たちはビデオや携帯機器などの消費者向けの用途にも,データ・ストレージやバックアップなどの企業向けの用途にも,重要な高度な技術として売り込む。

 光学ストレージを現在のDVDフォーマットより大容量化する競争は,「High-Definition DVD(HD-DVD)」と「Blu-ray」フォーマットの覇権争いが激しい状態にある。DVDやCDやBlu-rayと同じく,MODSはレーザーを使うが,データをディスクから読み取る際に微妙な変動と何百という角度を使うことでその処理を改善する。ほかのディスク・フォーマットと同様にこの技術は2層式であり,ディスク両面を使う予定だ。「実験結果からわれわれは,この新しい方法を使うことで,ディスク当たり合計1Tバイトは記録できるだろうと楽観的に見ている。これは1層当たり250Gバイトで,今入手できるBlu-rayディスクの10倍の記憶容量になる」とImperial Collegeの研究グループのリーダーであるPeter Torok博士は語った。

 研究者たちはMODSディスクの製造コストは,現在のDVDと同じ程度になると考えている。MODSは,CDとDVDを読み出せるので移行は楽だろう。研究者たちはその技術がより力を発揮する用途の1つは携帯機器市場だと見ている。なぜなら,複数の企業が現在入手可能なほかの選択肢に比べて,はるかに大量のデータを保持できる小さなフォーム・ファクタのディスクを製造できるようになるからだ。このグループは,将来の開発向けに追加の資金を確保して,2010年から2015年の間には,MODS技術を使った最初の製品を出したいと考えている。

(Keith Furman)