米Microsoftは9月27日,廉価版のWindowsである「Windows XP Starter Edition」をロシアの消費者向けにも出荷する予定であることを明らかにした。出荷時期は2005年初旬。Windows XP Starter Editionは,機能を削る代わりに低価格パソコンにだけ提供するもの。ハードウエア・メーカーを通じて,パソコンにプリインストールした形で提供される。

 同社は8月上旬に,同Starter Editionをインドネシア,マレーシア,タイに試験的に提供すると発表していた(既報)。今回のロシアで提供する先が4カ国になった。最初に出荷開始する国は,タイで今年10月から。他にも準備中と思われる国にブラジル,中国,インドがある。

 マイクロソフトによると,このような試験的提供は長期的に続ける予定で,世界の中で低所得の国々の消費者が,低価格パソコンにお金を使うものかどうかを見極めるのが目的だ。同社がこの計画を実施する国々では,ソフトウエアの海賊版が横行し,Linuxのような無料ソフト・ソリューションの市場が立ち上がってきている。例えば,米IDCの調査によると,ロシアではソフトウエアの97%が海賊版であるという。米国の60%の世帯にパソコンが普及しているのに比べて,ロシアでは5%未満,インドでは2%未満と普及率が低い。

 MicrosoftのXP Starter Edition担当のプロダクト・マネージャYannis Dosios氏は,「世界の何億という人々が,パソコンの恵みをまだ体験したことがない。なぜなら,技術が彼らのニーズにふさわしくなく,そして収入に比べて高すぎるからだ。われわれが作業を進めているタイ,マレーシア,インドネシア,ロシアと他にもいくつかの政府が悟ったことは,自国民が世界市場で競争していくために,低価格で使いやすいパソコンをもっと使うことが必要だということだ。Microsoftの施策はまさしくこれに合致したものである」と述べた。

 XP Starter Editionはいくつかの標準のWindows XPの機能を搭載していない。具体的には,ホームネットワーク機能,プリンタのネットワーク共有,複数ユーザー・アカウントが削られた。また,ユーザーは同時に3つのアプリケーションを動かすことしかできず,800×600ピクセルより高解像度には設定できない。

 Microsoftによると,XP Starter Editionは特定市場向けに仕立て直されたところもあり,ヘルプ・システムを設計し直し,各国固有のカスタマイズ,XP SP2のセキュリティ機能/デジタル写真/音楽機能の統合/ソフトとハードの互換性といったほとんどのXP機能が修正された。

(Paul Thurrott)