米Microsoftはこのほど,同社の電子メール・サービス「Hotmail」をOffice OutlookやOutlook Expressで利用する機能を有料化することを明らかにした。この機能は,HTTPの拡張であるWebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)を使って,Hotmailのアカウントの電子メールをOutlook/Outlook Expressによって送受信する。しかし最近,この機能が迷惑メール送信に悪用されていた。そこで同社は「Hotmail Extra Storage」や「MSN Premium」などの有償サービスの利用者でなければ,同機能を利用できないようにする予定だ。

 米MicrosoftのMSNリード・プロダクト・マネージャであるBrooke Richardson氏は筆者の取材に対して「現在,多くの迷惑メール送信者が,プログラムを使って自動的にHotmailのアカウントを作成し,Hotmailからスパムを送信しています。そこで当社では,HotmailのWebDAV機能を,人間しか利用できないようにします」と語っている。

 また,Richardson氏は「近年,WebDAVプロトコルの利用が拡大しています。WebDAVプロトコルは,Outlook/Outlook Expressを使ってHotmailにアクセスするのに利用されています。当社ではこれまで,WebDAV機能を無料で提供してきました。これは他のプロバイダーであれば,有料で提供しているような機能です。しかし,WebDAV機能の悪用があまりに激しいため,WebDAV機能は有料ユーザーでなければ利用できないようにします。今後数カ月の間に,『Hotmail Extra Storage』や『MSN Premium』といった有償サービスの利用者でなければWebDAV機能を利用できないように制度を変更します。私たちとしては,今回の取り組みによってHotmailからのスパム送信が減少することを期待しています」と述べている。

Richardson氏によれば,Hotmailアカウントの保有者でWebDAV機能を使っているユーザーはごく少数だという。「全ユーザーの5~10%が,WebDAV機能をセットアップしたことがあるようですが,ほとんどのユーザーが利用していません。ほとんどのユーザーは一度利用しただけで,継続利用していないのです。よって,ほぼ95%のユーザーがWebDAV機能を利用していないといえます」。また同氏は,Microsoftが無料サービスから撤退しようとしているわけではないと強調した。「当社は今後もHotmailに投資します。最近も,ウイルス対策機能を実装したばかりですし,無料のMSNカレンダも復活させました。また今夏に表明したように,無料ユーザーが利用できるストレージ容量も年内までに大幅に増強する予定です」(同氏)と語っている。

 無料ユーザーは,今すぐにWebDAV機能が利用できなくなるわけではない。しかし数カ月後には,WebDAV機能が使えなくなるという警告を出すようになるだろう。Richardson氏は「無料のHotmailユーザーがWebDAV機能を使うためには,2つの選択肢があります。まず現在20Mバイトのストレージ容量を2Gバイトにアップグレードする『Hotmail Plus』を利用することです。同サービスは年額19.95ドルです。またはMSN Premiumのユーザーになることです」と説明している。

 (日経Windowsプロ編集部注)この措置は,9月28日から日本のHotmail/MSNサービスでも適用される。既にWebDAV機能を使ってHotmailを利用しているユーザーについては,有料/無料ユーザーを問わず同機能を継続利用できる。しかし,まだWebDAV機能を使ったことがない無料ユーザーについては,9月28日からWebDAV機能が使えなくなる。有料ユーザーだけが,新規にWebDAV機能を利用できる。

(Paul Thurrott)

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