米Microsoftは今週,政府機関に対して同社製品のソース・コードを開示する「Government Security Program(GSP)」の対象を拡大し,新たに「Office 2003」のソース・コードを公開することを明らかにした。政府機関においてオープン・ソース・ソリューションの採用が拡大していることに対抗した動きだ。

 Microsoftヨーロッパ/中東/アフリカ(Europe, Middle East, and Africa,EMEA)の副社長兼CTO(最高技術責任者)であるJonathan Murray氏は「Microsoftは,当社製品を利用する政府機関を信頼できるパートナと見ています。GSPにOffice 2003を追加したのは,当社と全世界の政府機関が継続して協力関係にあるということを示しています。また,それぞれに特化したITニーズを満たすソリューションを提供できるようになります」と語っている。

 MicrosoftがGSPを開始したのは2003年1月のことである。このときは限られた政府と国際機関に対して,Windows Server 2003,Windows XP,Windows 2000,Windows CE .NETのソース・コードを公開していた。今回Office 2003をGSPの対象に追加したことによって,WordやExcel,Outlookなどのソース・コードも公開されることになった。Microsoftによれば,Officeのソース・コード公開プログラムに最初に参加したのは,英国政府だという。また中華人民共和国やNATO(北大西洋条約機構),ロシアなどもWindows OSのソース・コード公開プログラムに参加しているとしている。

 基本的にMicrosoftは,ソース・コードを秘密にすることがプログラムの価値を生むと考えているため,ソース・コードの公開には慎重である。しかし,政府におけるオープン・ソース・ソリューションの浸透がめざましいため,Microsoftはソース・コードの一部を公開し始めている。

 特に政府機関は,自身のコントロール下にないプログラムやデータ・フォーマットでは,市民のプライバシにかかわるデータを保護しかねる,といった憂慮を表明し始めている。MicrosoftがGSPにOffice製品を追加した目的が,この憂慮を解消することにあるのはいうまでもない。

(Paul Thurrott)

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