米Novellは6月30日(米国時間),Linux,UNIX,MacOS X上で動作するオープン・ソースの.NET Framework互換環境であるMono 1.0を公開した。Webサイトから無償でダウンロードできる。ECMAのCLI(Common Language Infrastructure)およびC#に関する標準を基に実装されている。ソフトを公開したNovellは,Monoを開発している開発コミュニティであるMono Projectのスポンサである。

 MonoにはC#コンパイラ,.NETの実行エンジン(CLR),クラス・ライブラリが含まれる。クラス・ライブラリには,CLIで規定されているコア・ライブラリだけでなく,Microsoftが.NET Frameworkに独自に実装しているASP.NET(Webフォーム)やADO.NETも実装されており,.NET Framework 1.1との互換性をもっている。ランタイム・バージョンおよびアセンブリ・バージョンも,.NET Frameworkと同じバージョン番号になっている。

 ただし,.NETの特徴の1つであるコード・アクセス・セキュリティは,Mono 1.0には実装されていない。COMとの相互接続性(インターオペラビリティ)も実装されていない。Windowsフォームは実装されているものの,ベータ版の扱いになっている。

 Mono Projectは,.NET Framework 2.0に実装される予定のGenericsやASP.NET 2.0などの拡張機能にも,2004年中に公開するMono 1.2で対応することを表明している。Windowsフォームに正式に対応するのもMono 1.2の予定である。

 なお,Mono向けのMono Developと呼ぶ統合開発環境も開発されている。これは,オープン・ソースの統合開発環境であるSharp Developがベースになっている。現在公開されているバージョン0.5はソース・コードの入力補完機能を備え,デバッガが統合されている。Mono DevelopもWebサイトから無償でダウンロードできる。

(山口 哲弘=日経Windowsプロ