富士通とマイクロソフトは6月28日,メインフレーム級Windowsサーバーの開発で提携/協業していくと発表した。提携の目的は,富士通が現在開発中の基幹業務向けItanium 2搭載サーバー(写真)の開発と信頼性の向上である。このマシンでWindows Server 2003や次世代WindowsのLonghorn(開発コード)を稼働させ,SQL Server 2005(開発コードYukon)などとの組み合わせで,メインフレームのリプレースを目指す。米MicrosoftのSteven Ballmer CEOは「ハイエンド・コンピュータの分野で培った富士通の経験を生かし,Windowsサーバーはエンタープライズ分野からミッション・クリティカル分野へと進出していく」と提携の意義を語った。富士通はWindowsをプラットフォームとするビジネスの売り上げを,2003年の約3500億円から2007年に8000億円へ,4年間で2倍以上に増やすという。

 今回の提携には,このほかに富士通のIT基盤「TRIOLE」に.NET技術を取り入れることと,米Microsoft本社内に「グローバルエスカレーションセンター」を設置してMicrosoftと富士通の技術者数十名を配置し,Windows Server開発部隊への直接のアクセスやユーザーへの迅速な対応体制を敷くことが含まれている。

 富士通が開発している基幹業務向けItanium 2搭載サーバーは,2005年前半に出荷の予定。プロセッサに次期Itanium 2(開発コードMadison 9M)を32個搭載し,チップ・セットは富士通が独自に開発する。「FTサーバーのようにあらゆる個所を多重化しており,とにかく落ちないサーバーにしている」(富士通のサーバシステム事業本部 佐川千世己プロジェクト統括部長)という。Longhorn搭載時には,ダイナミック・パーティショニング機能や,メモリーに障害が発生してもシステム全体を止めることなく当該メモリー領域を使用中のアプリケーションだけを止める機能などを備えるという。また,Windowsがハングアップしてブルー・スクリーンを表示したときに出力されるダンプ・リストだけでは原因の追求が難しいため,富士通は独自にトレース・ツールを開発している。このツールは公開する予定である。

(茂木 龍太=日経Windowsプロ