日本ヒューレット・パッカード(HP)は6月3日,アプリケーション・サーバー向けのブレード型PCサーバー「ProLiant BL30p」を発表した。同社はブレード型サーバーに注力しており,これが4つ目の製品ラインとなる。同時にブレードにハードディスクを持たせず,SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)経由で外部ストレージからOSを起動する「SANブート」の仕組みを今夏に提供すると発表した。

 ProLiant BL30pは,1枚のブレードにXeonプロセッサを最大2個搭載でき,同社の4つの製品ラインの中で上から3番目に位置付けられる。高さ6U(1Uは約44mm)のエンクロージャ(専用の収納ケース)に最大16枚のブレードを収納できる。エンクロージャは既存製品向けのものが利用可能だ。ブレードの価格は1枚当たり30万円台前半から70万円台前半。正式な価格は受注開始の6月24日に発表される。

 SANブートに対応するのは,BL30pを含めた同社ブレード型サーバーの上位3製品ライン。ストレージには同社の「StorageWorks」シリーズを利用する。SANブート機能を利用することにより,「サーバー本体に故障が発生したときの切り替えが簡単にできたり,ディスク容量を有効に利用できるなど,信頼性の向上やTCO削減が図れる」(同社インダストリースタンダードサーバー本部プロダクトマーケティング部の山中伸吾氏)という。

 また,2004年9月に64ビットCPU搭載製品を投入することを明らかにした。採用するプロセッサは,64ビット拡張された米Intel製Xeon(開発コードNocona)と米AMD(Advanced Micro Devices)製Opteronの2種類。2製品の売り分けについて同社インダストリースタンダードサーバー本部プロダクトマーケティング部の正田三四郎部長は,「Opteronはメモリー・コントローラを内蔵していることと,高速な内部バスのHyperTransportを採用している点から科学技術計算などのHPC(High Performance Computing)分野に向く。Xeon搭載機は動作検証などの点からIntel製CPUを望む企業ユーザー向け」という。また,Itanium 2プロセッサを搭載するブレード型サーバーも市場の動向を見ながら,検討中であることを明らかにした。

(茂木 龍太=日経Windowsプロ