マイクロソフトは6月2日,同日より開催した「the Microsoft Conference + expo 2004」で,同社が米国のMicrosoft本社に対してWindows NT 4.0のサポート延長を要請していることを明らかにした。

 これは,Microsoft Conferenceで行われたセキュリティに関するパネル・ディスカッションで,執行役最高セキュリティ責任者である東貴彦氏が明らかにした。東氏は同日より実施されたビジネス用ソフトウエアのサポート延長に関して,「今回のサポート延長は日本法人が米国本社に対してリクエストして実現したもの。対象となったのは現在メインストリーム・サポート・フェーズにある製品(Windows 2000/XPなど)であるが,(延長となるのは)これだけではない。日本においてはWindows NT 4.0が,情報システムだけではなく,生産システムやPOSなどにおいて,サーバーや『NT Embedded』(組込用のWindows NT 4.0)の形で広く普及している。これはわれわれが一番よく理解していることであり,NT 4.0のサポートに関しても米国本社にプッシュしている」と述べた。

 実際にPOS(販売時点管理)システムやATM(自動現金預け払い機)では,現在もNT 4.0やNT Embeddedが広く使われている。これはNT Embeddedの次バージョンが,Windows XPベースの「XP Embedded」であることが大きく影響している。POSなどでXP Embeddedが採用され始めたのは2002年のことであり,現在販売中の情報機器の中にも,NT 4.0やNT Embeddedを利用しているものがある。

 マイクロソフトが6月2日から実施したサポート期間の延長は,現在メインストリーム・サポート・フェーズにあるビジネス/開発向けのソフトウエアが対象であり,Windows NT 4.0やWindows XP Home Editionは対象から外れている。ただし,マイクロソフトアジアリミテッドの奥天陽司セキュリティレスポンスチームマネージャは,日経Windowsプロの取材に対して「サポート・ライフサイクルに関するポリシーは,四半期ごとに見直すことになっている」とも述べており,日本のユーザーからの要望が大きければ,NT 4.0のサポート延長も十分あり得そうだ。

(中田 敦=日経Windowsプロ