マイクロソフトは6月2日,「the Microsoft Conference + expo 2004」を開催した。同日午前に行われたオープニング・セッションでは,同社執行役最高技術責任者の古川享氏(写真)が,マイクロソフトの技術を基盤にした「シームレス・コンピューティング」によって,企業間のビジネス連携が今後,一層容易になることをアピールした。

 古川氏はまず,同社が現在最も力を入れているWebサービスの普及状況について触れた。古川氏はWebサービス技術を使いこなしている企業の実例として,住友信託銀行,松下電器産業,花王の3社が設立した人事部門のアウトソーシング企業である「人事サービス・コンサルティング(HRMSC)」を紹介。HRMSCは上記3社の人事部門の業務をアウトソーシングしているが,人事関連システムという従来社外には出しづらかったシステムをHRMSCで共用できるようになった背景に,異種システムの接続を得意とするWebサービス技術の存在があると主張した。HRMSCは人事システムのベースに「SAP R/3」を採用し,マイクロソフトのBizTalk Serverを利用してSAP R/3と各社独自のシステムを接続している。

 また古川氏は,現在同社が注目している技術分野について,HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング),blog(個人ユーザーで流行している日記風Webサイトの総称)向け技術,ソーシャル・ネットワーキング(Webサイト上で友人,知人を互いに紹介しあうサービス)などを挙げた。マイクロソフトは現在,Windowsを使ってHPCを実現する技術を開発中であり,ハードウエアにブレード・サーバーを使ったスーパーコンピュータがまもなく実現するであろうと述べた。

 このほか古川氏は,同社のIT技術者向けWebサイト「TechNet」に「セキュリティ・ガイダンス・センター」という,新しいセキュリティ関連情報サイトを設置したことを明らかにした。従来存在したTechNetのセキュリティ情報サイトを拡充し,管理者向けのセキュリティ関連ニュースや同社が提供しているセキュリティ保護ツール,管理者向けのトレーニングなどの情報を,まとめて入手できるようにした。

(中田 敦=日経Windowsプロ