今週,世界最大のコンピュータ・メーカーがPocket PC携帯端末3機種を発売した。米Microsoftの携帯端末用最新OSを搭載した最初の製品である。

 Dellの新しいPocket PC製品「Axim X30」は,最近米国で発表された「Windows Mobile 2003 Second Edition(SE)」を搭載しているが,それだけがこれらの製品の特徴ではない。3機種のうち2機種には,Wi-Fi(IEEE802.11b)とBluetooth通信機能が前代未聞の戦略的な低価格で提供されている。低価格志向のDellにとって,これらの製品は同社の標準的な価格設定方針にのっとったものだが,新しいAxim X30の登場は今後数週間,携帯端末のコミュニティで話題になりそうだ。

 Axim X30のエントリ・モデルは動作周波数312MHzのIntel XScaleプロセッサ,32Mバイトのメイン・メモリー,32MバイトのROMを搭載し,価格は199ドルからである。あと50ドル追加すれば,802.11b Wi-FiとBluetoothの内蔵モデルを購入できる。メイン・メモリーとROMはそれぞれ64Mバイトである。

 Axim X30のハイエンド・モデルは,動作周波数624MHzと最高速のXScaleプロセッサで,中級モデルと同じ無線通信機能を搭載し,349ドルで販売している。一般的なハイエンドの携帯端末が600ドルから700ドルなのと比べて,大きな違いである。すべてのAxim X30モデルは3.5インチTFTカラー液晶ディスプレイやSDカード・スロットを備える。

 Dellはこれまでその価格戦略によって,パソコンの世界で大成功を収めてきた。従来,携帯端末ユーザーは機能に対して割高な金額を払わされてきたが,今回のDellの価格戦略は,ユーザーに大きなメリットをもたらすだろう。例えば,米palmOneには競合するようなモデルはなく,Bluetoothだけを内蔵したTungsten T3でも価格は399ドルである。米HPの製品でも,Wi-FiとBluetoothの両方を内蔵した携帯端末のうち,最廉価のモデルは449ドルだ。

(Paul Thurrott)