米連邦地裁控訴審は,米Eolas Technologiesが米Microsoftを特許侵害で訴えた裁判をこのほど延期した。Microsoftによる裁判延期の要請を認めたもの。今回の展開は,同訴訟においてMicrosoftの立場が劇的に向上したことの表れである。

 EolasのMSに対する裁判は,昨年8月に注目を浴びた。このときEolasは,MSから5億2100万ドルの支払いを受ける陪審評決を勝ち取っている。Eolasは,ブラウザのプラグインに関する特許についてカリフォルニア大学から独占的にライセンスを受けている。同社はMicrosoft Internet Explorerに,Eolasの技術が使われていると主張していた。同社がMSに勝訴した場合,Mozilla FoundationやOpera Softwareのような他のブラウザ・メーカーが次の訴訟相手になるとされた。

 だが,この評決は,Web業界から非難を浴びた。業界団体は,米特許・商標局(USPTO)に申請し,Eolasが特許をとった技術は最初のものではないという情報を提供した。今年2月,Web標準化団体のWorld Wide Web Consortium (W3C)が提出した資料に基づき,特許・商標局はEolasの特許に「先行技術」があったため再審査すると発表した。

 これにより特許・商標局は,Eolasの特許を無効にすると期待されている。実際に同局は,特許が無効になるような先行技術があったという予備調査結果を出している。最終裁定はまだこれからである。

 Eolasは,もちろんW3Cや特許・商標局に同意していない。先週,同社代表は特許・商標局の調査に対する意見書を配布した。そこで先行技術の申告を非難している。発言は率直である。「裁判のほうが優先する。(特許・商標局)の再審査はMicrosoftが勝訴しようとして使った裏口である。なぜなら彼らは法廷では勝てないからだ」。しかし,これはMicrosoftが裁判で負けない理由である。先行技術の申請が正しければ裁判所もそれを認めざるを得ない。結局,この裁判の行方を決めるのは特許・商標局なのである。

(Paul Thurrott)