Microsoftは米国シアトルで開催中の「Windows Hardware Engineering Conference(WinHEC)2004」で,WinHEC 2003に公表されていたLonghornのグラフィックス・カードに関する要求仕様を変更することを明らかにした。同時に,Aeroと呼ぶ新しいユーザー・インターフェース(user experiences)の詳細についても公表した。

 Avalonチームのプログラム・マネージャであるKerry Hammil氏は「Aeroは,現在利用可能なWindows XPの次世代のものだ。Longhornには,ユーザー・インターフェースに関して2つの異なる技術レベルがある。1つはもっと強力なグラフィックス機構。もう1つはもっとリッチなユーザー・インターフェースだ」としている。

 これら2つのレベルあるいは階層は,昨年までは単に「Tier1(階層1)」「Tier2(階層2)」と呼ばれていたが,現在はそれぞれ「Aero」「Aero Glass」と呼ばれている。標準のAeroユーザー・インターフェースは,Avalonと呼ぶLonghornの低レベル・グラフィックスAPIを利用して作られている。これを利用するには最低32MバイトのVRAM(ビデオRAM)を備え,AGP 4X接続のDirectX 9対応3次元グラフィックス・カードが必要である。そしてAeroを利用する場合,解像度は1024×768ドット以上になる。ちなみに現在のWindowsの最低解像度は640×480ドットである。

 昨年,Microsoftが公表していたLonghornの最低要求仕様はDirectX 7対応だったが,Hammil氏はこの変更について次のように語る。「(Longhornが出荷される)2006年までにはDirectX 9が最低限の基本仕様になるはずだ。2年後に,DirectX 7にしか対応していないグラフィックス・カードを見つけるのは不可能だろう。グラフィックス機能がAeroの品質にそぐわないPCには,Designed for Longhornのロゴは与えられない」。

 一方,上層に当たるAero Glassは,Aeroの完全な上位互換で,より高性能なハードウエアを必要とする。Aero Glassはアニメーションを使った美しいユーザー・インターフェースを提供する。ウインドウは半透明処理され,文字が読みやすくなっている。半透明処理とアニメーションは,標準のAeroに比べてよりモダンで,高品質であり,Aero Glassの大きな特徴だ。Aero Glassには,64MバイトのVRAMとDirectX 9対応の3次元グラフィックス・カードが必要で,Microsoftは128Mバイトから256MバイトのVRAM容量を推奨している。

 Avalonをベースに作られているこれら2階層のユーザー・インターフェースに加え,LonghornはWindows 2000と同じクラシックなユーザー・インターフェースも備える。このモードでも,ユーザー・インターフェースに関係ない機能ならばLonghornのすべての機能を利用でき,Longhorn対応アプリケーションを実行可能である。このモードは,Aeroの最低要求仕様に満たないPCのアップグレードや,企業などLonghornに移行する際の再トレーニングをしたくないユーザーのために用意されている。

(Paul Thurrott)