MicrosoftがLinuxディストリビュータLindows.comに対して起こしている商標侵害訴訟で,先週の金曜日(4月2日)に動きがあったことが明らかになった。Lindows.comは,Microsoftに対して米国外で商標侵害の訴えを起こせないように米連邦地方裁判所に要請していたが,それが却下されたのだ。

 連邦地裁判事John Coughenour氏は,Lindows.comの要請却下に関して次のように述べた。米司法は国外の裁判所に対して,企業の合法的な権利を妨害しない限り,干渉する理由がない――というのである。法律の専門家は,米国企業といえども基本的にビジネスを行う国の法律に規制されるという基本ルールに沿ったものと評価する。

 Lindows.comは,この決定に対して即座にコメントを出さなかったが,Microsoftは満足を表明した。同社の広報担当者は5日に「裁判所の決定を好意的に受け止める。Lindows.comが当社の海外での訴訟を妨げようとすることは,根拠のないことであり,それぞれの国の商標に関する法律で裁かれるべきものと信じる。一連の訴訟の目的は非常に単純である。われわれはLindows.comがその名前を変え,明白にわれわれの商標を侵害しないようなオリジナルなものを採用してもらって競争したいのだ」と述べている。

 この裁判は,昨年MicrosoftがLindows.comを商標侵害で訴えたところから始まる。「Lindows」という名前が,「Windows」と似すぎており,ユーザーが混乱するというのが理由だ。これに対して,Lindows.comは逆襲した。「Windows」は一般的な言葉なので,商標として不適切であると主張したのである。裁判所は,Windowsが商標として適切かについての訴訟を2回延期した。現在のところ,この訴訟は2004年終わりまで行われる予定だ。この間,Microsoftは同様な商標侵害の裁判をカナダやメキシコなど米国外で起こしている。

 今年1月にMicrosoftは,オランダにおいてLindows.comがLindowsという名称で同社製品をベネルクス3国で販売してはならないという命令を勝ち取った。同国の裁判所は,Lindows.comに対して同社のWebサイトをこれらの国で利用できないようにする命令も出している。これについて,Lindows.comは,それは不可能だと主張している。

(Paul Thurrott)