メディアラボは3月9日,Windowsで動作するXサーバー・ソフト「かんたんXサーバー・スターターキット+IMEプロキシ」を発売した。同社のWebサイトでの直販のみで,価格は3150円(税,送料,手数料込み)。同ソフトを利用すると,簡単にLinuxとWindowsの2つの環境を同時利用できる。対応OSはWindows 2000/XPで,ハードディスクに300Mバイト以上の空き容量が必要である。

 Xサーバーは,LinuxなどUNIXのGUIとして利用されているX Window Systemの画面表示を担う部分。もともとX Window Systemは,画面表示部分とアプリケーションを動作させる部分がクライアント/サーバー方式で動作するよう設計されている。Windowsで動作するXサーバーを使うと,リモートのLinuxマシンで動作しているアプリケーションの画面をWindows上に表示できる。設定によって,Windowsのリモート・デスクトップのようにLinuxのデスクトップを丸ごとWindows上に表示させたり,Linux上で動作している1つのアプリケーションのウインドウだけをWindows上に表示させたりすることができる。

 かんたんXサーバー・スターターキット+IMEプロキシのXサーバーは,LinuxのX Window Systemに利用されているのと同じXFree86である。そのため,GNOMEやKDEといったLinuxのデスクトップ環境のすべての機能が利用できる。

 さらに,かんたんXサーバー・スターターキット+IMEプロキシに含まれる「IMEプロキシ」によって,ローカルのWindowsで動作しているIMEを使ってLinuxアプリケーションに日本語を入力できる。IMEプロキシは,同社がGPL(GNU General Public License)に基づいて開発しているフリーソフト。WindowsのIMEと,kinput2などX Window Systemの日本語入力フロントエンドとの橋渡しをする。かんたんXサーバー・スターターキット+IMEプロキシをインストールすれば,自動的にIMEプロキシのセットアップも完了し,そのままWindowsのIMEを利用してLinuxアプリケーションに日本語を入力できる。

 かんたんXサーバー・スターターキット+IMEプロキシのXサーバーは,フリーのWindows用UNIX互換環境であるCygwinをベースに開発されている。そのため,Cygwin用の各種アプリケーションをインストールすれば,それらをローカルの環境で利用可能である。Cygwin用アプリケーションのインストール・モジュール(パッケージと呼ぶ)は,CygwinのWebサイトから無償でダウンロードできる。

 なお同社は,Linux専用パーティションを用意しなくても,Windowsのパーティションにインストール可能なLinuxディストリビューション「Linux MLD 7」を発売している。このディストリビューションは,Windows XPなどのNTFSパーティションにもインストールでき,Windows上でLinux用に割り当てるハードディスク容量を指定するだけで簡単にセットアップできる。ハードウエアなどの各種設定も,Windowsのレジストリの情報を元に自動的に行われる。価格は1万3800円である。

(山口 哲弘=日経Windowsプロ)