米Microsoftは,米Eolas Technologiesの特許に関連して行う予定だったInternet Explorerの仕様変更をしばらく(少なくとも一時的に)実施しないと発表した。MSは当初,特許侵害を避けるように,今年前半に提供するWindows XP Service Pack 2でIEの仕様を変更する計画だった。今回の同社の決定がIEの他の仕様変更(ポップアップ広告ブロック,アドオン管理)などに影響するかは不明。

 Eolas社は裁判で,Microsoftに5億ドルもの支払いを命じる陪審決定を勝ち取っている(該当記事)。MSは,「プラグイン」と呼ばれるアドオン・ソフトをIEが処理する仕様を変更することで特許侵害を避ける計画を進めていた。同時に,同社はこの陪審決定を破棄するか,陪審を再選してこのケースを再審議するように求めたが,米連邦地裁は1月に上記の陪審決定を支持する判決を出していた。

 その一方,米特許・商標局で,珍しくEolasの特許を再考する動きが起こり,裁判の行方が流動的になった。同局はEolasが特許をとった機能には先行技術(prior art)があるとしている。つまり,Eolasが特許をとった機能に相当するソフトウエア・デザインは,同社がそれを発明すると主張する以前から提供されていたというのである。これが立証されると,この特許は無効になる。W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)のような数々の業界リーダーが,先行技術の存在を指摘しており,先行技術の存在が証明される可能性は高い。

 Microsoftに批判的な人々にとっては,前述した判決は確かに喜ばしいものだろう。しかし,Eolasが特許をとっていると主張する技術は,コンピュータ業界全体にショックを与えている。この特許は非常に曖昧で一般性がある。EolasがMicrosoftに勝利すれば,他のブラウザ・ベンダーを訴えるのは間違いない。

(Paul Thurrott)