かつてのNetscapeがそうであったように,インターネット検索エンジンで成功したGoogleが眠れる巨人を起こしてしまった。米Microsoftは1月26日(米国時間),Internet Explorer(IE)向け無償アドオン・ツール「MSN Toolbar」のベータ版を公開した。MSN Toolbarはほとんど「Google toolbar」のような概観をしており,検索機能やポップアップ広告のブロック機能などを備えている。MSN Toolbarのダウンロード・ページの見た目も,Google Toolbarのダウンロード・ページによく似ている。

 「MSN Toolbarを使えば,ユーザーはお気に入りのサービスに簡単にアクセスできるようになる」とMicrosoftのMSNパーソナル・サービス&ビジネス部門コーポレート副社長のYusuf Mehdi氏は語る。「Highlight Viewerツールのような画期的なサービスを提供したり,MSN HotmailやMSN Messengerといったワールドワイドの通信サービスにシームレスにアクセスできるようにすることで,ユーザーはもっと効率的にネットワークを利用できる」。

 前述したように,MSN ToolbarはHotmailやMessenger,My MSN,MSN Search,MSNBC.comなどのMSNサービスに,簡単にアクセスする機能を備えている。しかし,MSNとのさらなる統合は後日に持ち越されたようだ。「Googleはインターネット検索機能に特化している」とMSNグループ製品マネージャのLisa Gurry氏は話す。「もちろん,当社はMSNのすべての資産をMSN Toolbarのオプションとして見ているでしょう」。

 MSN Toolbarは,IEユーザーがいつも邪魔に思っているポップアップ広告を表示させないよう,ブロックする機能も備えている(MicrosoftはWindows XP Service Pack 2の一部として出荷するIE 6.0のアップデート・モジュールにもこの機能を追加する)。新しいHighlight Viewer機能は,ユーザーが検索条件として指定した言葉やフレーズを視覚的にハイライト表示した形で,検索結果を小さなHighlight Viewerウインドウの中に表示する。

 これに関連して,MicrosoftのMSN部門は不安定な財務体質を何年も経験した後,現在は幸運な状況が続いている。直近四半期のMSNの売上高は,強い広告需要などのおかげで19%増の5億4600万ドルに達した。その前の四半期は,初めて5800万ドルの利益を計上した。期待の高かったMSN検索サービスは,2004年内にはデビューする予定である。

 MSN Toolbarのベータ版は,北米のユーザーが試用できる。Microsoftは2004年4月に,MSN Toolbarを全世界に向けてリリースする。

(Paul Thurrott)