Palm OSを搭載したPDAのメーカーである米palmOneは1月21日(米国時間),全社員の12%を解雇し,スマートフォンの開発に注力することを発表した。原因は,トラディショナルなPDAの販売不振である。

 同社は2005年の黒字化を目指して,100名の従業員を解雇した。その結果,同社の従業員数は740名まで減少した。palmOneが最近発表した四半期業績は410万ドルの赤字であり,アナリストの予測を下回った。同社が昨年買収した米Handspringとの統合は,今後も継続する予定である。

 palmOneの社長兼CEOであるTodd Bradley氏は「より成長が見込めるスマートフォン市場に投資の比重を移しているが,今後も当社はハンドヘルド・コンピュータ市場における地位を維持し,革新的なソリューションを出し続ける考えである。また,Handspringの買収によるシナジー効果は今後も期待でき,強い決意と戦略的な決断によって,全社的なコスト削減を進めていく。目指しているのは売上高の成長と利益の増大であり,当社はそのゴールに着実に近づいている」と語った。

 palmOneの製品は依然として最も売れているPDAであるものの,同社はHPやDellといったPocket PCのメジャー・プレーヤとの激しい競争にさらされている。また,ユーザーの関心はPDAとスマート・フォンを接続することに移っている。よってpalmOneがHandspringを昨年10月に買収した目的も,Handspringのスマートフォン製品ライン「Treo」を得ることにあった。palmOneは現在「Treo 600」を販売しているが,同モデルは近々「Treo 610」にアップグレードされる予定だ。Treo 610は,直販に加えて携帯電話事業者経由でも販売される。

(Paul Thurrott)