マイクロソフトは1月22日,同社の「Windows Storage Server(WSS)2003」を採用したNAS(ネットワーク接続型ストレージ)を販売するベンダーに新たな企業が加わったことを発表した。台湾AXIOMTEK,米MaXXan Systems(日本での販売はフライトシステムコンサルティング),米Xtore Extreme Storage,レイドシステクノロジの4社である。

 WSS 2003はWindows Server 2003をベースにしたストレージ専用のOSで,CAL(クライアント・アクセス・ライセンス)がなくてもファイル/プリント共有サービスを提供できるのが特徴。Windows Server 2003に搭載された新しいストレージ技術VSS(ボリューム・シャドウ・コピー・サービス)や仮想ディスク・サービスなども実装している。これまで,EMCジャパン,NEC,アイオメガ,デル,日本ヒューレット・パッカード(HP),日立製作所がWSS 2003搭載製品を販売している。

 デルによれば,同社は2001年にWindowsベースのNAS(搭載OSはWindows 2000 Serverベースのもの)を発売して以来,NAS市場でのシェアを急増させており,2003年は日本のNAS市場でシェア2位になったという(1位はNEC)。米MicrosoftのWindows Server部門ジェネラル・マネージャのクリス・フィリップス氏は,「WSS 2003の優位性は,Windows Server用のソフト資産をそのまま利用できる点にある。2001年にマイクロソフトがNASに参入する前までは,各ベンダーはLinuxベースのNASを販売していた。それが今では,多くのベンダーがLinuxベースのNASの販売をやめてしまった」と,WindowsベースのNASの優位性をアピールした。

 ライセンスの制約により,WSS 2003上では業務アプリケーションを利用できず,バックアップ・ソフトやウイルス対策ソフト,サーバー管理ソフトのみ利用してもよいことになっている。サーバー管理ソフトについては,NECや日本HP,日立製作所が自社開発製品をプリインストールしている。その他のベンダーの製品では,コンピュータ・アソシエイツやベリタスソフトウェアのバックアップ・ソフトなどがプリインストールされることが多い。トレンドマイクロは同日,同社のサーバー用ウイルス対策ソフト「ServerProtect for Windows NT/NetWare 5.58」がWSS 2003に対応したことを発表した。同製品を搭載したNASは,日本HPが発売する予定。

 なお,今回マイクロソフトが開催した発表会に参加したアイオメガの幹部によれば,2004年中には10万円を切る価格帯で,Windowsベースのストレージ装置を発売する予定という。10万円を切る価格帯のNASは「ネットワーク接続ハードディスク」(米国ではインテリジェント・ハードディスク)の名称で販売される製品が主流で,多くはLinuxベースである。ただし,Microsoftによれば「Windows Storage Server 2003は高機能なWindows Server 2003を基にしたNASであり,インテリジェント・ハードディスクとは根本的に異なる」(クリス・フィリップス氏)としている。

(中田 敦=日経Windowsプロ)