米Microsoftは,「Get the Facts」と銘打った広告キャンペーンを始めた。これは,Linuxなどのオープンソース・ソフトウエアに直接対抗する狙いがある。同社が独占禁止法裁判にかかわっている間に,一般ユーザーがLinuxについて抱いた技術面,安全性,コストなどに関する誤解を払拭しようとするものだ。キャンペーンは主にシステム管理者やITシステム導入の決定権を持つユーザーを対象に,6カ月間続ける。

 最近,ソフトウエアのコストや価値に対する意識が,特にITユーザーの間で高まっている。「Get the Facts」キャンペーンは,ITソリューションを導入しようとしている企業ユーザーに対して,ソフトウエアの価値に関するWindowsの優位性を訴求する。今度のキャンペーンが今までの同様なキャンペーンと違うのは,Microsoftが一方的に情報を提供するだけでなく,LinuxとWindowsを比較したサード・パーティによる「証拠」を提示している点だ。だがそれでも,このキャンペーンはLinuxコミュニティに対してスズメバチの巣を揺さぶるようなものだろう。

 各国の政府は,システムをLinuxで構築し始めている。今回のキャンペーンによって今からそれらの目をWindowsに向かわせるのは難しいだろう。例えば,最近Linuxでシステムを構築したイスラエル政府の例が象徴的だ。イスラエルはMicrosoft製ソフトウエア製品の使用を決して止めたかったわけではない。ただ,ライセンスに関して心配したのである。各ユーザーが,必要としたときに必要なソフトを,Microsoftが要求するライセンスをいちいち気にせずにインストールしたかったのである。もしMicrosoftが,WindowsはLinuxよりも低コストだと主張したいのなら,Microsoft製ソフトウエアを大量購入するユーザーにもっと有利になる価格体系にするべきだ。

(Paul Thurrott)