2年後に次期Windows OSのLonghornをリリースするまでの間,米Microsoftは競争優位を少しでも維持するために躍起だ。同社は,ロサンゼルスで開催される開発者向けコンファレンスのProfessional Developer Conference(PDC)で,Longhornの革新的なグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)である「Aero」のコードを提供しない意向だが,その替わりPDCの参加者はAeroの機能を省いたLonghornの特別なビルド(開発途中のベータ版)を入手できる。ビル・ゲイツ会長の基調講演の中で同社幹部がAeroを特別にデモンストレーションも実施する予定だ。Microsoftの内部や同社に近い複数の筋からこれらの情報を確認した。

 「(9月初旬まで)MicrosoftはAeroのコードをPDCの参加者に提供するべきかデモに留めておくべきか,判断に迷っていた」と,ある情報筋は語った。しかし,今年10月後半のPDCの開催から2005年後半に予定されるLonghornの最終リリースまでの間に長いブランクがあるため,Aeroをデモだけに留める決定が下された。もし,同社が新しいGUIのすべてを今リリースしてしまったら,Windows OSのライバル(Apple ComputerやLinux陣営)がLonghornより先にAeroのクローンをリリースしてしまうかもしれないからだ。

 Microsoftは過去に,このような問題で悩まされたことがある。最近の例を挙げると,今年後半に出荷されるMac OS X 10.3のExpose機能(開いているすべてのウインドウを縮小して,よく見えるように並べ,各ウインドウの表示内容を一瞬で確認できる機能)がある。MicrosoftはExposeに似た機能をこの何年かデモンストレーションしてきたが,それが実装されるのは早くてもLonghornまで待たなくてはならない。

 PDCで開発者が得られるものは,それでも非常に興味深いものだ。過去数週間にわたって,MicrosoftはPDC用の特別なビルドを作るために,本来のLonghornとは全く別系統のコードに分岐させて開発を進めている。このビルドはAero以外のLonghorn技術を仮想的にすべて含んでいる。また,アルファ版Longhornの冴えないユーザー・インターフェースを置き換える,新しい謎めいたデスクトップ・テーマも含まれる。同社は現在,PDCに間に合わせるべく奮闘している。

(Paul Thurrott)