マイクロソフトは9月16日,Officeの新版「Office System」を使ったカスタム・アプリケーションの開発キット「Visual Studio Tools for the Microsoft Office System(以下,VSTools)」の出荷を11月14日に開始すると発表した。この製品は,Visual Studio .NETへのアドオン・モジュールであるVSTools本体に加えて,Visual Basic開発環境などをセットにしたもの。単体のVSToolsはMSDN(Microsoft Developer Network)の購読者向けにダウンロード・サイトやCD-ROMに収録して配布する予定。

 従来のOffice 2000/XPの製品ラインアップでは「Office 2000 Developer」「Office XP Developer」などの開発者向けパッケージが用意されていた。これらのDeveloper版Officeは,Office本体にマクロ言語VBA(Visual Basic for Applications)の開発者向けリソースなどを追加した製品だった。VSToolsの製品パッケージはこれらの後継製品に当たるが,製品の内容は大きく変わっている。

 VSToolsはVisual Studio .NETに組み込んで,Word 2003の文書とExcel 2003のワークシートをプログラムから制御できるようにするためのアドオン・モジュールとして作られている。開発にはVBAではなくVisual BasicまたはVisual C#を利用する。生成されるカスタム・アプリケーションは.NET Framework上で動作する独立した実行形式ファイルになる。.NET Frameworkには,実行形式ファイルの安全な配布,実行を支援する機能があり,VSToolsによってOfficeをベースとしたカスタム・アプリケーションの大量展開が容易になるとしている。

 製品パッケージには,VSTools本体のほか,Visual Basic開発環境「Visual Basic .NET Standard 2003」,Access 2003で開発したアプリケーションの配布支援ツール「Access 2003 Developer Extensions」,開発者向けのデータベース管理システム「SQL Server 2000 Developer Edition」など,開発に必要なソフトウエアが一通り含まれる。ただし,WordやExcelなどのOfficeアプリケーション本体は含まれていない。

 推定小売価格は通常パッケージが8万9800円,優待パッケージが4万5800円,アカデミック・パッケージが1万9800円。優待パッケージを購入するには,Office 2000/XPのDeveloper版かVisual Studio .NET 2003のライセンスが必要になる。

(斉藤 国博=日経Windowsプロ)