1998年以来,目立ったバージョンアップをしていないInternet Explorer(IE)だが,Webアクセスの調査会社OneStat.comによると,先週1週間のIEのシェアは95.4%に達したという。もっと重要なのは,競合製品であるオープン・ソースの「Mozilla Firebird」や米Apple Computerの「Safari」などが,ポップアップ広告をブロックする機能や,タブを使って複数のページを切り替え表示する機能など,IEに欠けている機能を搭載して好評を博している一方で出た数字であることだ。

 この調査でトップとなった「IE 6.0」のシェアは66.3%。これに「IE 5.5」が14.5%,「IE 5.0」が12.7%と続く。第4位のMozillaは1.6%に過ぎない。同じMozillaのテクノロジに基づくNetscape Navaigatorなどを合計しても4.1%止まりである。その他の選択肢に至っては,ノルウェーOpera Softwareの「Opera」が0.6%,前述の「Safari」が0.25%と,かろうじて名を連ねているに過ぎない。この数字は,90年代後半に開発がストップしたNetscape Navigator 4.xより低い。

 ここ数カ月で,MicrosoftはWebブラウザの製品戦略を大きく変えた。IEは既に市場の大部分を獲得してしまっており,定期的なバージョンアップを提供し続けなければならないというプレッシャーがほとんどない。次のIEの大きなバージョンアップは,2005年に予定されているLonghorn世代の次期Windows OSのリリースに合わせて行われることになる。しかし,Microsoftはブラウザの改良を止めてしまっているわけではない。例えば,ポップアップ広告の抑止機能を「MSN 9」に組み込む予定だ。MSNは,料金を払うことで一定期間利用できる「サブスクリプション」ベースのブラウザ製品である。現在のMSNユーザーは,ひところIEユーザーが体験していたような,相次ぐバージョンアップを楽しんでいる。MSN 8がリリースされたのは2002年10月で,先月には最新版のMSN 8.5がリリースされたところだ。Microsoftによると,MSN 9も2003年中にはリリースされる予定だという。

(Paul Thurrott)