米国の国土安全保障省(Department of Homeland Security)はこのほど,同省が使用するMicrosoft製ソフトウエアに関するサポート業務を,米Dell Computerに委託する契約を結んだ。契約期間は6年間である。Dellによれば,同省職員14万4000人が使用するMicrosoftのServer製品,OS,アプリケーション・ソフトに関するサポート業務を,Dellが実施するという。受注金額は最低でも1億2000万ドルと見られている。契約範囲は原則としてサポートに関するものだけであり,Dellが国土安全保障省に対してハードウエアを販売するわけではない。

 Dellの広報は「この契約は,DellがデスクトップPCとサーバーに関するソリューションを総合的に管理するというものです。管理対象は,OS,サーバー製品,WordといったOAソフトが含まれます」と語る。「ソフトをアップグレードしたり,アップデートや修正パッチを適用するのもDellの仕事になります」(Dell広報)。

 ここ数カ月,Microsoftは複数のオープンソース企業との間で,米国の州政府や各国政府が使用するソフトウエアの契約を争っている。このような問題は,ほんの数年前であればMicrosoftが直面するはずもなかったものである。つい先日も,ドイツ・ミュンヘン市が,Microsoftの売り込みがあったにもかかわらず,1万4000台のデスクトップPCのOSにLinuxを選択したと,オープンソースOS側の挑戦者であるLinux陣営が盛大に触れ回っている。

 とはいえ全般的にいえば,政府向けの商戦においてMicrosoftは健闘している。国土安全保障省の案件では,そもそもLinuxが候補として挙がっていなかったのかもしれない。というのも同省は,複数のベンダーに対してただ単純にMicrosoft製のソフトウエアのサポートを要求しただけのように見られるからだ。

(Paul Thurrott)