米MicrosoftのBill Gates会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトは,Webサイトに掲載した「Toward a Spam-Free Future(スパムのない未来に向けて)」と題する顧客向けの公開状で,今後技術革新と他企業や政府などのパートナシップの強化を進め,スパムやジャンク・メールへの対策を一段と強化していくことを表明した(該当サイト)。公開状の中で,Gates氏はスパムを「ばかげている」「不愉快でうっとうしい」などと断じ,子供などへの悪影響も指摘した。電子メールがこれまでもたらしてきた利益を全て台無しにしてしまいかねないほどの問題だとの認識を示している。

 「(スパムの)問題の対策には緊急を要すると認識し,私たちは『スパム対策技術・戦略グループ』を組織しました。このグループには全社横断的にスペシャリストを集め,スパム対策戦略と研究開発成果の全てを集約しています。私たちは多方面に対策を採り,スパムのトラブルを減らしていきます。スパムの到達率を減少させれば不法行為もままならなくなります。そうなれば,スパムを送ることによる金銭的なメリットは減少し,スパムの訴求力もなくなるでしょう」とGates氏は書いている。

 Gates氏は,Microsoftは多面的な対策を採るという。第1に,Microsoftは新しいスパム対策技術を開発し,ExchangeやOutlook,MSN/Hotmailなどメッセージング関係の製品に組み込んでいく。既にMicrosoftのHotmailサービスはサーバーで一定のフィルタリングを行っており,1日当たり240万通のスパムをブロックしているという。第2に,MSNの利用規約に違反しているスパム発信者を排除していく。不正なアカウントを開設できないようにするほか,ISP(Internet Service Provider)が顧客の代表としてスパム発信者を訴えやすい環境を整えるよう,立法府に働きかけていく。

 第3に,電子メールのインフラ技術を改良して,発信者名などを偽装しにくいようにする。スパムでは,発信者名を偽装して,そのメールが家族や友人,同僚から来たように見せかける手口がよく使われているためだ。第4に他のISP(Internet Service Provider)と共同で,スパム発信の証拠となる行動記録を残す方法を改善する。そして第5に,受信者の了解を得ずに送信するメールには,件名欄に目印を付けて削除しやすくする自主規制を働きかけている。

(Paul Thurrott)