米Microsoftが,ルーマニアのアンチウイルス・ソフト・ベンダーGeCAD Softwareの知的所有権と技術資産を買収することで合意したと発表した。GeCADは1992年から事業を始めた会社で,1000万人以上のユーザーを60カ国以上に持つ。

 GeCADのアンチウイルス製品のラインアップは幅広く,主要なほとんどのプラットフォームをサポートしている。これにはWindowsとグループウエアExchange Serverも含まれる。同社の製品は,ほかにGroupwise,Linux用メール・サーバー,SambaやNovell Netwareのようなファイル・サーバーや,ICQ,MSN Messenger,Yahoo Messenger,AOL IM,Trillianなどのインスタント・メッセージング・クライアントをカバーしている。ただし,Microsoftの広報担当者によると,Windows以外のプラットフォームのサポートはやめるという。

 Microsoftは最近,複数の主要なアンチウイルス・ソフト・ベンダーとウイルス情報に関する協定を結んだところで,Microsoft自体もウイルス対策の研究チームを組織する予定である。しかし,同社はGeCADの技術をどれくらい広く使うつもりなのか明らかにしていない。

 同社は,GeCADの技術を開発中の新しいWindowsファイル・システムのフィルタ・マネージャ技術の強化に使うと思われる。この新しいWindowsのファイル・システムは次期バージョンのWindowsに採用されるもの。Microsoftはこの新しいファイル・システムが「アーキテクチャによってアンチウイルス・ソフトの開発を容易にし,システム全体の信頼性を向上させる。このアーキテクチャではアンチウイルス・ソフト・ベンダーがミニフィルター・ドライバを組み込むことができるようになっている。ドライバを簡単に作れるようになるため,ドライバの信頼性が上がる」としている。

 ウイルスやワーム,トロイの木馬はコンスタントにMicrosoftの製品を苦しめている。同社がファイル・システム・レベルのフィルタリング・インターフェースをサード・パーティに提供する可能性は大いにありそうだ。

 Microsoftのセキュリティ・ビジネス・ユニット担当のコーポレート・バイス・プレジデントMike Nash氏は「GeCADの技術の買収によって,Microsoft製品とサービスのためのウイルス対策ソリューションをわれわれが実現可能し,顧客の安全性を高めたい」と語っているが,具体的なソリューションについては,名前も価格も提供時期も明らかにしていない。