Microsoft(MS)のWebブラウザ戦争での勝利を決定的にする出来事が起きた。このほど同社は,Netscapeの親会社AOL Time Warnerに7億5000万ドルを支払うことで和解した。これによりAOLはMSに対する反トラスト法(米独占禁止法)訴訟を取り下げる。またMSは今後のWindows製品でAOLに簡単にアクセスできる方法を提供する。

 見返りにMSが得るものは大きい。第1にAOLは同社が保持するNetscape/Mozillaの代わりにInternet Explorer(IE)を少なくとも7年間無料で使える。第2に,具体的なスケジュールは示されていないが,AOLとMSは,現在互換性がないインスタント・メッセージング(IM)製品を統合する作業に入るという。第3にAOLは,MSのWindows Digital Mediaフォーマットとデジタル著作権管理(DRM)技術のライセンスが与えられる見込みだ。これらを使えば,AOLのオンライン・サービスは,インターネット経由での音声やビデオの配信を不正利用から守ることができる。

 多くの方は,元Netscapeの従業員が見捨てられたのではないかと思ったろう。最近までAOLは様々なクライアント・ソフトでNetscapeの技術を使うと率直に話していた。これらの計画は今や中止となり,Netscapeのシェアもほぼなくなる可能性が高い。