米Microsoft,米Network Associates,トレンドマイクロの3社は,コンピュータ・ウイルスに関する情報を顧客に共同で提供するアライアンス「Virus Information Alliance(VIA)」を結成したと発表した。ちょうど,電子メールやLAN環境を使って広まる「Palyh」という新種のワームが流行している折りで,タイミングのいい発表だった。このワームの流行は,ウイルス情報の周知徹底の重要性を改めて裏付けるものだからだ。

 Palyhは「Mankx」とも呼ばれ,差出人として「support@microsoft.com」という偽物のアドレスを用いる。このメールには,Windowsでプログラムを起動する「pif」という拡張子の感染ファイルが添付され,本文に「all information is in the attached file.(必要な情報は添付ファイルに収めてあります)」と書かれている。

 アドレスを偽装したり,それらしいメッセージを付けたりすることでユーザーを油断させ,添付ファイルを実行させる手口は別段目新しいものではない。メール・ソフトのアドレス帳を使って感染を広げる手口も同様だ。また,アンチウイルス製品のベンダー各社はウイルス検出用のデータを更新し,既にこのワームへの対応を済ませている。しかもOutlookの最新版(Office XPに含まれる「バージョン2002」)はpifファイルを起動しないようにデフォルトで設定されているし,その前のOutlook 2000もサービス・リリース2以降の新しいパッチを適用してあれば,やはりpifファイルを勝手に起動することはない。つまりPalyhは,正しい知識を持って対策を実践していれば十分に防げるワームなのである。

 VIAに参加するMicrosoftとパートナ企業は,ウイルスの脅威について顧客への周知を図るとともに,ウイルス警報を出すなどして,この種のワームの流行を押しとどめたい考えだ。遅きに失した感もあるが,VIAではウイルス情報センター(Virus Information Center)を設立し,ウイルスの技術情報や被害を防ぐための情報を提供していく。いずれはホワイト・ペーパーなどウイルスのまん延を防止するための各種リソースも提供していく予定だ。サイトへの情報提供はNetwork Associatesとトレンドマイクロが行う。Microsoftはすべてのアンチウイルス製品ベンダーにVIAへの参加を呼びかけたが,現時点での参加はこの2社にとどまった。他のベンダーにも参加することを期待しているという。