予測外の動きだったが,米Microsoftは5月19日(米国時間)にSCO GroupからUNIXのソース・コードをライセンスすると発表した。SCO GroupはUNIXに関する権利を保持しており,ライセンス違反があったとしてLinux陣営と法的に争っている最中である。なぜMicrosoftがライセンスを受けたのかは定かでない。しかし,アナリストの分析によると,今回のUNIXをライセンスする決定は,相互運用性を改善する目的でSCOと同様の交渉をしている他の会社を勇気づけているという。

 しかし,悪い意味で解釈することも可能である。この3月にSCOはIBMに対し,SCOの営業秘密がLinuxに利用されたとして,10億ドルを要求する訴訟を起こしている。Linuxコミュニティは,他のLinuxベンダーにも同様の訴えを起こされる恐れがあるとして,この言いがかりに反発している。明らかなのは,今回のMicrosoftの決定が,Linuxワールドから一層大きな怒りを買う可能性が高いということ。そして,同社のLinuxに対する態度を考えれば,これが以前から計画されていた可能性もあるということだ。

 UNIXは最後から2番目のOSという意味合いで,1960年代にAT&TでC言語とともに開発された。MicrosoftはAT&Tから1980年代にライセンスを受け,IBM PC上で動くUNIXであるXenixを開発した。1992年にNovellがUNIXの権利を取得し,1995年に今度はその権利をSCOに売却した。SunをはじめとするUNIX製品を開発している会社のほとんどがUNIXの技術をライセンスしているため,まだその技術に金銭的な価値があったのである。

 しかし,Windows NT(およびその後継製品)やLinuxの成功により,最近のUNIXは元気がなくなってきた。オープン・ソース・プロジェクトにより,Linuxのソース・コードはだれにでも公開されている。

 SCOは,これが問題だとしている。UNIXのソース・コードの中で権利が保護されている重要な部分をLinuxが利用していると,SCOは信じている。これが事実なら,Linux製品を開発・販売するすべての会社に法的なリスクが存在することになる。SCOは最近になって,IBMが持っているUNIXライセンスを来月早々にも取り消すと脅している。

 Microsoftによると,明確に技術をライセンスすることが,SCOの知的所有権を侵害せずにWindowsとUNIXの間の相互運用性を改善するための最善の方法ということである。SCOは会社名を明らかにしていないが,Microsoftだけが最近UNIXのライセンスを取得した唯一のメジャーな企業というわけではないという。