米国時間の4月24日,サンフランシスコで米Microsoftは待望のWindows Server 2003を正式発表した。Windows 2000 Serverの後継となるこのサーバーOSが,Windows NT Server 4.0をまだ抱えている顧客にアップグレードを促してくれるものとMicrosoftは期待している。Microsoftにとって今年最大の製品発表で,イベントでは開発ツールのVisual Studio .NET 2003や64ビット版データベース・ソフトのSQL Server 2000 Enterprise Edition(64-bit)も同時に紹介された。しかし,あくまでも主役はWindows Server 2003だ。この製品は開発に長い時間をかけ,Microsoftやそのパートナ,ライバル企業などに対して大きな影響力を備えている。

 これまでWindows NTからのアップグレードをためらっていた企業は,Windows Server 2003を完成度の高まったWindows 2000 Serverと考えるかもしれない。Windows Server 2003には目玉になる新機能がなく,WebサーバーのInternet Information Services(IIS)6.0とOS全体でセキュリティを高めたことが目立つ程度である。しかし,新しいサーバーOSには数千個所に及ぶ小さな変更,改善が施され,それらの多くは顧客からのフィードバックに基づいている。

 「Microsoftは,顧客が直面しているITやビジネス上の困難を解消する手助けのためにこれらの製品を開発した」と,Windows Serverグループ担当副社長のBill Veghte氏は語る。「ビジネス面では,縮小する予算に合わせてコストの削減が求められている。同時に,市場や顧客ニーズの変化に素早く対応していく必要もある。接続や管理が非常に容易なアプリケーションには,はっきりとした実需が存在する」(同氏)。

 Windows Server 2003の改善点は,Windows NT 4.0でねばっていた企業をアップグレードさせてしまうのに十分なほど素晴らしいことがすぐに証明されるだろう(Windows NTはまだ何年も先まで現場で動き続けるとは思われるが)。Microsoftは,ベータ版の段階からWindows Server 2003にアップグレードした150以上の優良企業や政府機関をさかんに宣伝している。これらの企業・組織はプレリリース・コードを使って業務システムを動作させ,非常に厳しい実世界のシステム・テストを実施した。こうしたテストは,大多数の企業・組織に成功をもたらすことを示していた。

 Windows Server 2003は以前のOSよりもスケールアップしているので,この製品はハイエンドのUNIXマルチプロセッサ・サーバーに対する脅威となるはずだ。Windows Server 2003は基本的にどんなタイプのサーバー・ハードウエアでも動作する。例えば,非常に小さなWebブレード・サーバーから世界中で最も大規模なデータベース・サーバーまで対応する。

 発表会に先立ち開催された展示会

 ITリサーチ/コンサルティング会社D.H. Brown Associatesの副社長兼リサーチ・ディレクタのTony Iams氏がレポートした記事「Windows Server Platform Reaches Maturity」によれば,Microsoftがこの10年間にサーバー・アーキテクチャとして描いてきたビジョンを,Windows Server 2003は具現化したという。「このOSは別の意味でもマイルストーンになる」とIams氏は語る。「Windowsはかつてデスクトップとサーバーで異なるコア・テクノロジを使っていた。しかし,Windows Server 2003と同じコア・テクノロジを搭載したWindows XPが既に存在するので,Microsoftは初めて企業内のサーバーとクライアントに本当の意味で単一のOSを提供できたことを示している。Active Directoryを通して環境を統合し,Microsoft Operations ManagerやSystems Management Server(SMS)などのツールを使うことにより,これまで経験したことがなかったレベルのパワーや機能性をサーバーからデスクトップまで,企業内全体で実現できる。Microsoftは全力で取り組んでいる。これからがとても楽しみだ」(同氏)。