米Microsoftは,RTC(Real-Time Communication)サーバー(開発コード名Greenwich)のベータ版のリリースに合わせて,これを補完する一連のクライアント側のインスタント・メッセンジャ(IM)ソフトを準備中だ。同社が準備しているのは,消費者向けIMソフトの「MSN Messenger 6」と,企業向けIMソフトの「Windows Messenger 5」。Microsoftに近い情報筋によると,数週間以内にリリースされるという。3月24日(米国時間)にも「MSN Messenger for Mac OS X v3.5」を発表したが,これには現行のWindows版にもない特徴を先行して搭載している。

 Windows Messenger 5のベータ版は,すでにRTCサーバーのベータ版の中に含まれており,入手できる。特徴は(1).NET Passportを使ったインターネット・ベースのIM,(2)Greenwichサーバーを使ったIM,(3)Exchangeを介したIM――という3つのIMサービスを同時に利用できること。他にも,Tablet PCのデジタル・インクにも対応している。ユーザーはTablet PCを使って,手書きの文字とテキスト・データの両方を含んだデジタル・インク形式のデータを電子メールとして送れる。

 ユーザーはTablet PCがなくても,オプションを選べば,デジタル・インクを受け取って読める。もし,受信側がこの機能をオフにすると,送信側は単なるテキスト・データにして送る。Windows Messenger 5でなくなった機能としてHotmailとの統合がある。変わりに,メールが届いていると,Windows Messenger 5がOutlookを起動してくれるようになった。

 MSN Messenger 6とWindows Messenger 5は,両方ともIMのアーカイブ機能がある。ユーザーは自動や手動で会話を記録できる。この機能は,不思議にもMac OS Xのユーザー向けに最初に提供されたことになる。MSN Messenger for Mac OS Xには,他にもパフォーマンスの最適化や新しいグラフィカルな画面など,小さな機能が追加された。

 Greenwichは2003年夏に出るはずで,Windows Server 2003へのアドオン機能になる。同サーバーOSは企業内でIM機能を利用するためにSIP(Session Initiation Protocol)技術を搭載している。SIPは,Windows XPのWindows Messengerで最初に登場した。それ以来,同社のRTCの計画は劇的に変わり,元々企業向けIMはExchangeの機能になる予定だったのが,Windows Server 2003の一部の機能に取り込まれ,SIPのメッセージング・サーバーになることになった。その後2002年半ば,同社はWindows Server 2003から開発作業を分けるため,RTCサーバーを別のプロダクトに分離した。GreenwichはWindows Server 2003の3~4カ月後に出荷される予定。ライセンス方法については不明。