調査機関に近い情報筋によると,ヨーロッパ連合(EU)はMicrosoftが反トラスト法を犯していることを見付けて,現在処罰の審議をしているという。また,審議機関に近い情報筋は,Microsoftに対して2つの要求が検討されているという。1つは,Microsoftが所有するより多くのプログラム・コードを競合相手にも使わせること。もう1つは,Media PlayerをWindowsから分離させること。EUがどのような判断を下したとしても,Microsoftは米国の反トラスト法で処罰をうまく乗り越えたように,今回もうまく乗り越えると見ている。

 EU競争総局の広報担当であるMario Monti委員は3月11日,この件に関して次のように答えた。「私たちは,Microsoftのケースを調査中である。しかし,私たちはまだどんな発表も,どんな声明も用意していない。多分,今回の件で結論を出すまで数カ月かかるが,もう少し待ってほしい」。そして翌12日,サーバーとプレーヤー・ソフト市場でのMicrosoftの妨害に対する決定は遅れて,夏の終わりになると語った。当初,その決定は2002年遅くか2003年の始めには出るとしていたものだ。しかし,潜在的な告発の複雑さと,決定が広範囲に分かれるために,より多くの時間を必要とすると広報担当者はいう。「現段階で,私たちは最終結論に達していない」。

 EUは告発と処罰を発表する前に,法律と技術の両面で相手につけ入るすきを与えないように証拠固めの作業をしている。Windows Media Player(WMP)の告発に関して,この作業はとても分かりやすい。しかし,Microsoftにより多くの技術情報を競争相手に公開するように要求することは,いくつかの問題を伴う。EUは競合分野を保証するために,技術的詳細をどのように特定するか示さなければならない。EUは,Microsoftの成功の大部分が,サーバー製品のためにデスクトップ製品を違法に拘束している結果だと確信している。目的の1つは,Windowsを使うユーザーが朝,ログオンして接続するバックエンドが,Linuxや他のサーバーでもユーザーはその違いに気付かないということだ。

 EUは,この件に関して4年以上にわたって調査をしてきた。そして,最近になって「悪魔の代弁者」と呼ばれる陪審団を形成した。これは,Microsoftからの異議で法廷論争になったときのためで,それは2002年にGeneral ElectricとHonywellの合併計画がヨーロッパ裁判所によって覆されるという大きな判決が出た後のことだ。

 Microsoftは,巧みな操作で同社のサーバー製品が,支配的なデスクトップ製品で,最良の状態で動作するようにしている。また,Real Networksや他の競争相手を締め出すため,違法にWindows Media Player(WMP)をWindowsにバンドルしている。そういう判断に対して,EUがどんな処罰を下すか,発表前の不明瞭な状況にもかかわらず,Microsoftは今回のEUによる反トラスト訴訟で,EUは「肯定的な解決」に取り組んでいると発表している。