調査会社Cooperative Research Network(CRN)のレポートによると,米Microsoftは「OfficeLite」と社内で呼ばれていたプロジェクトを静かに中止した。OfficeLiteは,サブスクリプション・ベース(訳注:オンラインで定期購読する方式)のOfficeとMSN 9を組み合わせたバージョン。このプロジェクトは,Outlookの[仕事][カレンダー][連絡先]などのデータをMSN 9のユーザー・インターフェースで表示させるもので,企業向けの画一的な統合パッケージに代わりに,低価格で個人ユーザーと教育関係者に提供する予定だった。情報筋は,Office 2003は6月の早い時期に出荷されるが,MSN 9は秋まで用意できないという。

 Microsoftの内部メモによると「Office 2003のスケジュールの関係で,OfficeLiteの成果は棚上げされた」「汎用でないOfficeを作る課程で,われわれは多くのことを学んだ」。別のメモは,同社は学生と教師に対してOfficeの低価格版をもっと大量に売り込むことを決め,そのためにOfficeLiteが棚上げされたことを示している。低価格版の販売は,Office XPの段階で実施された。

 OfficeLiteの初期プレビュー版は,OfficeとMSNは緊密に統合していた。ユーザーは,MSNの新しい[My Contacts]領域を通して,Outlookの[連絡先]にアクセスできた。[My Contacts]は,様々な方法で予定表やグループの連絡先を共有できる。例えば,連絡先にファイルをドラッグすることで,相手のファイル・ディレクトリに送ることができる。これにはWindows Messengerのピア・ツー・ピア(P2P)技術が使われている。そして,SharePoint Webサイトの登録ユーザーならば,共同作業の文書を見られる。MicrosoftはOfficeLiteの開発は無駄でなかったという。そして同社は将来のMSNベースのサブスクリプション・サービスの多くを仕切り直すつもりだ。