米国時間12月23日夜,J. Frederick Motz米連邦地裁判事は,米Microsoftを相手にした米独占禁止法訴訟における米Sun Microsystemsの言い分を認め,米Microsoftに対してSunのJava技術をWindowsに即座に搭載するよう命令した。この先例のない判定は一時的なものだが,裁判が完全に終了するまで適用される。その間,Microsoftは,かつてBill Gates会長がコカ・コーラ6パックごとにペプシを1本付けて運ぶようなものだと述べていた厳しい現実に直面することになる。

 Sunの副社長兼特別顧問であるMike Morris氏は「今日,裁判所はMicrosoftがSunの著作権を侵害していることとJava技術を搭載することを認めた。われわれは,裁判所の決定にとても満足している。また,審問から素早く処分を出してくれたことに感謝している。この仮処分は,裁判が終わるまでMicrosoftから与えられる損害の賠償を一時的に求めることが狙いだ。裁判ではこの処分を含めてSunがMicrosoftに対して起こしたあらゆる独禁法上の問題が争われる」と述べた。

 SunとMicrosoftの間の訴訟の歴史は長い。Microsoftが一番初めにJava技術のライセンスを受けたのは,1996年3月である。その年遅く同社は,Java技術を盛り込んだ自社製品を,Internet ExplorerやWindowsとともに配布した。米独禁法訴訟中に明らかにされたように,Microsoftの経営陣は,JavaがWindowsの市場での力を殺ぐ可能性があると心配した。裁判の文書によると,そのためMicrosoftは「SunからJavaの管理権限をもぎ取る」戦略を採った。Windowsだけで動作する独自のJavaバージョンを作成したほか,開発者にこのバージョンのJavaが複数のプラットフォームに対応しているかのように装ってJavaの市場を分断した。また,ハードウエアおよびソフトウエアのパートナに,MicrosoftのJavaバージョンの利用を要求した。

 これらの動きに対抗するため,Sun Microsystemsは1998年3月,Microsoftを不公正な競争や知的財産権の侵害,Java商標の冒涜で告訴した。2001年1月,SunとMicrosoftは和解し,MicrosoftはSunに2000万ドルを支払った。その後,MicrosoftはJavaの代わりに,.NET技術をWindowsおよびそのほかの製品に搭載し出荷し始めた。

 Microsoftが米独禁法訴訟で負けた後,SunはMicrosoftをもう1度訴えた。コロンビア特別区の連邦地裁が,Microsoftが不法に行動しJavaの配布と受け入れを妨害したことを認めたためである。この訴訟の一部でSunは自社のJava技術をWindowsに搭載するように要求した。その要求が12月23日の夜に認められたのである。今回の処分を決めたMotz裁判官は,「Javaに.NETと同じ配布条件を与えることをMicrosoftに要求することは健全で適正である」と述べている。