先ごろ,IBMが開発ツール・ベンダーであるRational Softwareの買収を発表した。これに対しMicrosoftは同社がRationalに出資していることを考慮するように注文を付けている。加えて,MicrosoftはBorland Softwareの買収に興味を示しているとも報じられている。Borland Softwareは,Visual Studio .NET製品群と競合する開発ツールを作成するソフトウエア・ベンダーである。Microsoftと興味深い争いを繰り広げるLinux向けのツールもBorlandは数多く提供している。もちろん,MicrosoftはLinux関連の製品を販売する気はないと繰り返しいっている。

 MicrosoftによるBorlandの買収は,IBMがRationalを買収することよりもあり得る話である。しかし,MicrosoftがWindows向け開発ツールの市場で唯一といっていいライバルを除外するのは独占禁止の点から疑問を持つ。Microsoftは1995年に,個人向け金融ソフトのQuickenを開発しているIntuitを買収しようとしたが,個人向けのオンライン決算市場における実質的ライバル企業の買収ということで司法省が許可を出さず実現できなかったことがある。