米Microsoftは11月18日,開発環境の新版「Visual Studio .NET 2003(VS.NET 2003)」の最終ベータ版をリリースしたと発表した。この製品は「Everett」というコード名で開発を進めていたもの(関連記事)。2003年4月に製品版の出荷を開始することも併せて発表している。

 VS.NET 2003の特徴は,.NETアプリケーションを動かす2つの新しいランタイム環境に対応したことである。1つは2003年4月に出荷開始予定のWindowsサーバー新版「Windows .NET Server 2003」,もう1つはモバイル端末などで.NETアプリケーションを動かすためのランタイム環境「.NET Compact Framework」である。.NET Compact Frameworkは,今回のVS.NET 2003最終ベータ版に合わせて正式版がリリースされている。

 Windows .NET Server 2003には,.NET Frameworkの新版(1.1)が含まれる。最大32CPUのマルチプロセッサ環境への対応などスケーラビリティを向上したほか,WS-SecurityをはじめとするWebサービス構築のための最新技術への対応などを行っている。VS.NET 2003では,これらの新機能を利用したアプリケーションを統合環境を使って開発できる。

 もう一方の.NET Compact Frameworkは,Windowsなど向けに提供される.NET Frameworkのサブセット版で,より性能の低い環境でも動作するように作られている。現行のVS.NETで.NET Compact Framework用のアプリケーションを開発するには「Smart Device Extensions(SDE)」と呼ぶ拡張モジュールが必要だったが,VS.NET 2003ではSDEに相当する機能が統合される。これまで,.NET Compact Framework向けアプリケーションの配布にはライセンス上の制限があったが,近日中にVS.NET 2003の最終ベータ版を使った.NET Compact Frameworkアプリケーションの配布が解禁になる見込みである。

(斉藤 国博=日経Windowsプロ)